福島県教育センター所報ふくしま No.96(H02/1990.8) -011/038page
り、無理に類型化を試みると不満を残す子どもも少なくない。
3.授集の実際
本構想では、子どもたちの考えの違いをも十分に取り入れ、「類型化」よりもむしろ「分類化」とし、子どもたちが多様な考えを構造的に把握し、自分の考えの位置付けを意識して相互の意見交流ができるようにしていきたい。
具体的な手だてとしては、「樹形図」のような広がりと関連を意識できる構造的板書がイメージできる。
ー問題状況の把握ー 「このお話でみんなで考えてみたいところはどこですか」という教師の投げかけに、子どもたちは「よし子のまよい」を焦点づけた。そこから、教師はKR効果を生かしながら「まよい」が起因するようになった要素を引き出しながら、構造的、視覚的板書を構成していった。さらに、この板書を生かして「何をまよっているのか」 「どうしてまよっているのか」の発問により、よし子の葛藤の質をうきぼりにしようとした。
子どもたちの判断は、「よし子は見たままを正直に言うべき」と「言うべきでない」のほぼ二つの考えにしぼられていった。意見の交流が進むにつれ「言うべきだ」という考えに傾いていったので、ここで「めぐみ」に役割取得させて、角度を変えた視点を導入しようとした。
T:ここで「あなたがめぐみさんだったら」という見方で考えたらどうでしょう。
C1:わたしは、もう学校に来たくなくなります。言うべきでないと思います。
C2:親友のくせにとうらみます。
C3:白い目で見られるといやな気持ちになります。
C4:よし子さんをきらいになるよ。
C5:ぼくは、よし子さんの頭の中はr言うべき」、心の中は「言うべきでない」になっていると思います。
一つの判断でもその理由づけは多様である。それを、教師は技わかれした構造的板書(樹形図型板書)として提示していった。話し合いが進んでいくと、子どもたちは「誠実」 「友情」 「学級の一員としての責任」の間でいわば「葛藤の均衡状態」となった。そこで、子どもたちがたどりついたのが、「正直に言う」ことははずせない。
しかし、よし子が親友としてできることはもっとあるはずだという考えだった。C1:わたしなら事情を説明して、めぐみさ