福島県教育センター所報ふくしま No.96(H02/1990.8) -012/038page

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んの代わりにあやまってやります。
C2:それじゃ、何にもならないよ。
C3::ぼくは、めぐみに正直に言ってあやまることを歓めるのが本当の友だちだと思います。
一「出来ない時はどうするの」の声が聞かれる。ー
C4::つきそって一緒にあやまります。わざとじゃないと言って。
C5::ぼくなら一緒に直してやるな。
T:整理してみますよ。本当に友だちのことを考えるということは、きびしいことだけど友だちによいことを勧め、させるということですか。これも友情ですね。
4.自分の考えの位置を知る

話し合いの流れは、子ども一人一人のもっている一人よがりな考えや断片的な思いつきからの脱皮にある。それぞれの手持ちの考えを全部さらけ出させて比較させていくのである。ここでは樹形図型板書の視覚的効果についてふれておきたい。
子どもたちは、教師が授業を中断して確かめなくても、自分の考えと友だちの考えを比較検討し始める。友だちがどう考えているか。自分のそれと比べてみることによって、自分の考えの位置づけが分かると、同時に自分の考え、底の浅さも分かってくる。

5.「納得」までの筋道を作る

子どもたちの多くは「めぐみはこわしたことを正直にいうべきだ」という考えをもった。しかし、この段階での多様な考えはまだまだ浅い考えである。
「直すだけでもだめだ」 「自分から事情を説明してあやまって直さなければだめだ」というところまで高まってきて、初めて良心と対峙することができる。
しかし、この「あやまって」とい.う考えも、ただ、みんなにあやまればすむと考えている間はまだ浅いので、わざとこわしたのではないにしても「トロフィーを責任をもって預かっている」学級の一員としての連帯感のもとで検討されるべきなのである。
そこまで子どもたちが考えを焦点化し、検討することを通して、初めて、「ぼくにはそんな考えは思いもよらなかった」 「なるほどそうか」と「新しい発見」や「深い納得」を得ることができるのである。
そのためには、友だちの考えを対比したり、関連づけて考えたりする材料と思考がぜひとも必要になる。子どもたちの考えを「類型化」するよりも「分類化」し、整理し、丁寧に刻みだしてやる意味はそこにある。
本実践の「展開後段」で0児は、事前に書いた「友情」に対する考えと授業で得た「友情観」を比較して、次のように自分を振り返っている。今までの自分を「信頼、友情」という窓口から明確な視点をもって見直している姿である。


「納得」までの筋道を作る

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