福島県教育センター所報ふくしま No.96(H02/1990.8) -022/038page
あなたもカウンセラー
一反社会的行動を持つ生徒についてー
教育相談部 朽木 耕作・畠腹 桂子・鈴木 喜三郎
今回は、「喫煙をした女子中学生」について、「家族へのアプローチを中心とした指導援助」により、改善が見られた事例についてご紹介いたします。
95号 校内研修に基づく不登校児への対応例
96号 喫煙をした女子中学生
(※97号 特集号につき休み)
98号 集団理解と集団指導について喫煙をした女子中学生
1 問題の発生と概要夏休みが明けて一週問後、2年のT子が女子バレーボール部の部室で、友人3人と喫煙しているところが発見された。早々に個別指導がなされたが、その中で明らかになったのは
・最近は何をやってもつまらない。
家に帰っても楽しくない。母は最近は特にピリピリしている。
・たばこやライターはT子が家から持ち出したものであること。
・喫煙に誘ったのもT子であること。
・他の2人は別の学級だが、同じ部であり仕方なくT子に付き合ったこと。などであった。T子の学級担任は、一学期には問題もなくおとなしかった生徒がどうしたのだろうと、指導要録、学級経営誌の中の個別指導記録簿、家庭環境調査票、教科担任、部活動顧問、養護教諭などから情報を収集してみた。
2 資 料
学業成績・知能
1学期は、9教科平均が3(保健体育、家庭、美術は2、音楽は4、他が3)
知能偏差値は49
家庭環境(団地、一戸建)
父 =51才 会社員 電気技師
母 =42才 専業主婦
兄 =普通高校3年生(進学高)
本人 =中学2年生
部活動顧問の観察
バレーボール部の練習は、1学期中は熱心であったが部長との関係はよくない。
教科担任の観察
夏休みが明けてからの授業は眠そうな態度であり、1学期に比べても消極的になった。 総合的に見ても、夏休みを境に変容した理由は、資料や他の教師の観察からは、つかむことができなかった。