福島県教育センター所報ふくしま No.96(H02/1990.8) -023/038page
3 指導援助の方向性
学校での観察や、収集した資料をもとに校内事例研究会を持ち、次のことを確認した。
・夏休みを境にして、何らかの理由(誘因)で、生活態度の変化が見られた。
・学校での生活では、友人関係を姶め、誘因となるものがみつからない。
・家庭での生活や生育歴など、不明な点が多く、早急に資料を収集する必要がある。
・家庭での資料が収集された段階で再度指導援助の方針を全員で検討する。
・さしあたって、学校では全員で援かい言葉かけをし、精神的な安定を図る。
このことを受けて、学級担任はさっそく家庭訪問を実施した。
(第1回訪問) 母親とのラポール形成電話で都合を聞いてからとはいえ、突然の訪問であるため、母親はかなり緊張した様子であった。「喫煙」のことで、強く指導されるという不安があったのかも知れないが、世間話をしていく中で、かなりリラクッスできたようである。
母親は喫煙のことに自ら触れて、次のようなことを話してくれた。
・兄はこんなことはなく、優秀であったこと。現在も何も心配はない。
・女の子ということで、甘やかしていたのかも知れない。
・父親の前では静かで反抗しないが、兄や母親の前ではわがままで勝手な言動が多い。
学級担任は、第1回ということで、質問らしいことはせず、「学校でもT子さんの立直りのために全力を尽くし、共に考えていくこと」などを話し帰校した。家庭訪問の内容については学年主任に報告し、記録ファイルを作っておくことにした。
(第2回訪問) 母親からの資料収集
2回目ということもあり、笑顔で迎えてくれたが、母親としての愚痴を中心とした内容となった。「受容」 「支持」 「リード」を中心として、資料の収集に努めた。
母親「 父親は、実は7月初めから単身赴任 で、家のことはすべて私がやっているんですヨ。」
担任「そうだったんですか・・・。」
母親「今回のことも、私がしつけを間違ったからだと叱られました・・・。」
担任「お父さんなりに、心配しているんですねえ。」
母親「でも、私だって心配はしてるんですけど・・・・・。ストレスはたまる一方ですし・・・・。 8月からは気晴らしにパートに出てるんです。 」
担任「お母さんも大変ですねえ、T子さん寂しがりませんか?」
母親「喜んでいるんじゃないかしら。」
4 第2回校内事例研究会
2回の家庭訪問の結果を、事例研究会で報告し、指導援助に関する意見を求めてみた。
・T子本人への指導援助は、学級担任だけに任せるのではなく、部活動顧問、教科