福島県教育センター所報ふくしま No.96(H02/1990.8) -024/038page

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担任、養護教諭などの連携で、高校進学という目的意識を持たせる。
・学級担任は、明るい学級づくりのために再度工夫をする。
・2学期の行動変容は、父の不在や母のパート勤めのため、家庭での愛情を感じ取れていなかったためではないか。母親はもちろん、父親を含めて、家族関係の歪みを認識してもらうことが重要ではないか。
家族カ動図
家族構成間の直線は、結びつきの度合いを示したものである。
破線よりも実線の本数が多いほど強いことを表わしている。


家族力動図

父親の単身赴任および母親のパート勤めなど、夏休みにかけて環境の大きな変化が見られた。T子は兄への劣等意識とともに孤立状態に置かれた。両親のコミュニケーションを多くし、子供,への関与も、両親から公平に行われるようすることによって、T子の家庭での存在感を増すようにする。
家族への指導援助が、T子の治療には不可欠と思われる。
・この家族へのアプローチは大変だろうが母親とのラポールがとれている学級担任があたるほうがよい。

学級担任にとって、指導援助の難しさはあったにしても、この事例研究会での話し合いは有意義なものであった。「全員の先生方が理解してくれている」ということが何にも増して「やる気」 「安心感」 「自信」に結びついていると考えられた。
さっそく、家庭訪問による両親との教育相談をすることにしたが、その前に、本人との教育相談を通して「事例研究会での内容の裏付け」となる資料を収集した。

5本人との教育相談

部活動顧問や教科担任の「温かい見守り」とも言える指導援助のかいがあって、その後は喫煙などの問題もなく、やや本来の姿が戻ってきたとさえ思えるようになっていた。
学級担任による一対一の教育相談も、拒否することなく、,意外に簡単に実現した。
相談の中で、明らかになった事項は、以下の通りである。
・兄は、秀才だ。父も母も自慢している。
・私は勉強がそんなに好きでないが、実業高校へ進学したい。
・両親は私には厳しいだけで、かまってはくれない。
・父は週末だけ帰ってきて、寝てるだけ、母は、パートに出てしまう。
これらの内容は、事例研究会での内容を裏付けるものであった。

(第3回訪問)両親との教育相談
電話で両親のそろっている時間に訪問したい旨を伝えたところ、気持ちよく土曜日の午後3時という返事をもらった。さっそく伺ってみると、本人と両親の3人が待っていてくれた。T子はややふてくされた感じではあったが、席を立とうという素振りもなく、そのまま話し合いに人った。
最初にT子に話し掛けてみる、「何を話すのか心配だからここに居る」との返事であった。「別に学校の生活ぶりを報告に


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