福島県教育センター所報ふくしま No.97(H02/1990.11) -004/038page
提 言
教育センターへの期待
郡山女子大学短期大学部名誉教授 長谷川 壽郎
1. 総論的に
教育センターが、今日の教育状況からの挑戦を受けて、十分適切有効に応答するには、どうあるべきか。これは実は常時問われていると思います。この問いに実践をもって答えることは、関係者の責任であるわけですが、関係者というのは、設置者及びこの機関の職員であるとだけ考えることはきわめて不十分であると考えます。勿論当該のそれぞれの責任は第一義的なものですけれども、ひろくこの機関にかかわる者及び直接活用する者すべてが心を寄せ合うことが大事になるということであります。ところが、このような状態を醸成するには、また、センター側の働きかけが十分でなければならないことになります。このためには、この機関に関係をもつそれぞれの立場の者が、センターに何を望み期待しているかをよく汲み上げるとともに、それらに即しつつ今日の教育状況の受け止め方が、共通して、具体的にかつ真っ当であるようにする働きかけを適切に工夫しなければならないことになります。
ところで、教育センターの教育委員会所管の各課各機関の中で担う役割が、十分理解され大事にされなければならないことは当然ながら、教育センターの職員のモラールがきわめて高く、よく研修に努め、識見と力量を洗練し、業績を充実していくことが、他への働きかけの有効性の根底であることは言をまちません。現在の教育センターの差績を評価しながら更に一層の努力を期待するものであります。
さて、今日の教育状況の把握のあり方において、次のことは、おそれをいだかされる一端であります。それは、教育現場ではすでに新教育課程による教育実践の方向を理解し、努力していることは当然のことでありながら、深く教育精神の衰弱が瀰漫していこうとする徴候が現われてきていると見られることです。このことに対処しなければなりません。次項の(2)においてふれることにいたします。
2. 各論的に (この項では、当面する課題に対する応答について考えてみます。)
教育センターは、学校教育センターに過ぎないではないか、という批判もありますが、それには3.において一応考えることにして、学校教育の全体をカバーしているかということは検討すべきだと思います。(1)研究・研修の領域にかかわるものとして、健康教育・地域教育(小・中連繋の教育、学・家・社の教育機能の連繋の問題)、校長研修、養護教諭研修について等、現機構の中で工夫実践が可能でなかろうか。とくに校長研修は重要であ