福島県教育センター所報ふくしま No.97(H02/1990.11) -005/038page
ると考えます。教育現場に見られる教育精神衰弱の徴候の徹底的分析、それに基く活性化の方策の樹立と実践は、何を措いても校長各位の識見と指導カによることも当然でありますから。教育センターは、このための機会を用意し、日頃の校長各位の研修に一層の磨きをかけることへの手助けをすることは重要な仕事でありましょう。(2)教育精神にかかわる状況についてどのように対応すべきかは、また当面するじつは緊急の課題であると考えます。わが校においては、教育精神の衰弱などという徴候はいささかも見られないと筆者の反駁されることを願っているし、現にそうした学校のいくつかを筆者はまた知ってもおります。しかしまた、授業研究はやりたくない、他校の研究公開に参加する必要は感じない、教科書を教えてさえおればいい、今までのやり方を反省検討など無用だ、などという事例も知っているし、無難に過ごせばよいとして甚だ消極的な管理職者の存在も承知しております。望ましい教育精神の状況から望ましくない教育精神の状況が映像領域をじjわじわ増していくようなイメージをいだくのは、妄想に過ぎないことであってもらいたい。
盛夏のある日、現職の有力な校長先生と会食した折に、現場の教師の中には、「米国や英国が、基礎・基本の徹底を図った日本の教育を手本に教育を改革しようとしているのに、日本では個性を重視し創造性を養う方向に教育を改革しようとしているのは、逆ではないかと疑う向きがある。」と聞かされて、これまた教育精神の衰弱のせいでないかと思いました。わが国の教育改革の方向に疑念をいだいた教師は、基礎・基本の徹底と個性重視、創造性開発はジレンマと映じたのでしょうか。教育はこの両者を統合して正しくその機能を発揮できるのであって、両者はジレンマどころか、不可欠の契機であると充分理会し、教育方法上の展開を個に即して工夫しなければならないわけです。さらに、自由と規律の問題も正しく理解されなければならないし、子供を大事にするとは、本当はどういうことかをしっかり弁えること、父兄にもジャーナリズムにも正しく毅然と対処できること等々、凡て研修講座のいずれにおいても十分に訴え続けられることを願いたいのであります。
3. 直近の未来こおける課題への応答について
わが国教育革新の方向は、生涯教育体制の樹立の方向であることは最早自明であります。教育センターの方向は、このことに有効に答えることでありましょう。インテリジェント化の方向が打ち出されて試行に人っているところもあるようですが、慎重な検討が必要であると考えます。実は臨教審第三次答申に現われたこのインテリジェント化構想が教育センター構想となるには、段階をふんで十分検討することが大事だと思います。だが教育センターは、単なる学校教育センターであるわけにはいかないことも明らかであります。この直近の未来における課題に有効に答えるには、何よりも人材の確保を図ること、しかもその処遇が適正であること、規模の適切な拡大、機能チェック機構の整備等が必要不可欠な要件になると考えられます。