福島県教育センター所報ふくしま No.97(H02/1990.11) -007/038page
自己教育カ、文化・伝統の尊重と国際理解の4本柱である。中留武昭、奈良教育大学教授」という定義から考えれば、今後の教育の中心的課題であることは納得できるのである。
4. 「開かれた学校」に関しての教育センターの役割さて、こうした教育改革の動向の中にあって、教育センターは何をしていくべきなのであろうか。この課題はあまりにも大きく、明解な方向の提示はできるはずもないが、あるべき方向の模索は避けて通ることはできない。そこで、記念特集号を機に、教育センター各部から、部の特質に応じた提言を企画した。そしてここでは総括として、「開かれた学校」に関する教育センターの役割について考えてみようと思う。
いうまでもなく福島県教育センターは、県の教育機関であり、研究・研修・サービスの事業推進により本県教育の向上発展に寄与することが使命であるから、本県教育重点施策の遂行はもちろんのこと、今後を見通しての全国の教育動向をふまえた先導的な研究、研修講座における具体的方向・内容の提示、学校現場や先生方の二一ズに応える資料の提示や援助指導等に積極的に努力することが求められている。それではそれらをふまえ、「開かれた学校」の視点から、今後具体的にどんなことを盛り込んでいくべきなのか、必要と思われる事項を列記してみれば、次のようなものが考えられる。
研究面においては、ア.開かれた学校・学年・学級経営(運営)に関する研究、イ.開かれた学校と新教育課程の展開に関する研究、ウ.個性を生かす教育環境のあり方に関する研究、工.開かれた学校への校内体制・態勢づくりに関する研究、オ.生涯学習体系に基づく教育施設のインテリジェント化に関する研究、カ.国際理解教育に関する研究、他。
講座等による研修面においては、ア.新しい理念「開かれた学校、教育の人間化」の周知、イ.個性を生かす指導法の工夫改善と具体事例の提示、ウ.習熟度に応じる指導法の工夫改善と学習プログラムの提示、エ.CAI・CMI等、コンピュータ活用による教育工学的立場に立った授業・事務処理の構築とその具体化、オ.開かれた学校の立場に立った教育課程編成の具体例の提示と援助、カ.多様化する児童生徒に対応する教育相談の技法講習と具体例の提示、他。サービス面においては、ア.授業に関するソフトの開発と資料のデータベース・データバンク化、イ.パソコン等による教育センターと各校間のネットワーク構築と指導援助の推進、ウ.現代の社会・学校・教師の二一ズに応える資料の提示と活用の援助、カ.インテリジェントスクール構想に基づく各文教施設との連携指導、他。
5. おわりにこうして考えてくると、教育センターは重要な使命を負っていることを再確認できる。現代社会が要請する課題・教育現場の現実的な解決改善課題・未来を志向しての課題を直視し、なお先導性を認識して、「いま何をなすべきか」に努力し、着実に実績を残していくこと、このことが、「教育センターの役割」であることを自覚するのである。