福島県教育センター所報ふくしま No.97(H02/1990.11) -010/038page

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提言

児童・生徒の人格の形成を目指す研修を求めて

学習指導部長 佐藤 英昭

 新学習指導要領が告示され、文字どおり21世紀を託するに足る児童・生徒の育成に向けて、各学校ではその特色を生かした教育課程の編成がなされる。今回の改訂では、児童・生徒の内面重視の方向が強調されるなど、多くの面に特徴的なものが示されているが、注目すべきことは、小学校、中学校、高等学校の全てを通じて学校の教育活動を進めるに当たっての基本方針として「基礎的・基本的な内容の指導の徹底と個性を生かす教育の充実」(総則「教育課程編成の一般方針」第1款)が挙げられていることである。

 このことは、社会の変化に主体的に対応することのできる人間を育成するために、学校教育の場で児童・生徒一人一人に課題解決の方法を自ら探求する態度を身につけさせることであり、それは,基礎的・基本的内容を生きた力として修得させることを意味するので、児童・生徒にとって固有なものとして重視されなければならず、個性を生かす教育の充実に結びつくものである。基礎・基本の定着を図り、個性を伸ばす教育は、人間としての在り方や生き方を考えることをとおして、教師の手によって児童・生徒の自己学習力・自己教育力の深化と人格の形成を育成するものであるから、その学習指導においては、各教科等の特質に応じ児童・生徒の実態を踏まえ創意工夫に満ちた適切な授業実践がなされなければならない。このように、今後の学校教育が質的変換を遂げなければならない現状の中では、当然に教師自身の意識の変革がなされなければならず、豊かな教育活動の寒践に向けてあるべき研修の組織化が望まれる。

 ところで、最近、現場の教師の声として「授業が思うように展開しない。」 「授業が成立しない。」ということを耳にする。反面、児童・生徒の側から言わせると「あの先生の授業は面白くない。」 「授業が難しくて理解できない。」という答えがかえってくる。今、手元の資料を見ると、本県の高等学校(抽出)普通科進学校の生徒の中、「授業が難しい。」と答えているものが41.8パーセント、同じく就職者の多い学校の生徒では、30.0パーセントである。また、同一回答者の中、「授業が分かれば積極的に参加する。」と答えているのは、進学校で55.7パーセント、就職校で50.4パーセントに達する。このことは、児童・生徒が興味・関心を持って授業に参加できる授業を設計し、分かり易い授業の展開が図れるよう、教師一人一人が授業改善に意欲と情熱を持って真摯に取り組む必要があることを意味する。同時に、研修を企画運営する立場からは、教育諸改革の動向を踏


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