福島県教育センター所報ふくしま No.97(H02/1990.11) -011/038page

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まえ、社会の変化や時代の進展に対応した教育活動が推進されるよう、換言すれば、教育現場のつまづきを先取りし、二一ズに応え、生きて役に立つ研修の在り方を指向しなければならない。

 当教育センターの研修は、悉皆研修である基本研修と専門的資質の向上を目指した専門研修の体系化を図り運営しているが、特に基本研修は、教科に重点を置いた講座運営になっているので、それぞれの経験年数に応じた研修内容の手立てを図り、「学習指導案の作成」 「教材研究の進め方」等を講義、演習、研究協議等をとおして、教育現場で望ましい授業展開が実現できるよう実践している。また、研修内容も一方的な講義の形をできるだけさけ、演習や研究協議の中で研修者自身が、自分で課題解決の糸口を発見し、研修の成果を教育現場で活用できるよう配慮している。さらに、生徒指導(教育相談)、情報リテラシー等については、共通講座として研修者全員が研修すべきものとして位置づけている。そして、このような研修の成果として、教師の一方的な知識の切り売りではない指導過程が構築され、児童・生徒一人一人を大切にする授業の展開が図られる。だからこそ人格の形成に結びつく「分かり易い授業」が実現されるものと考えられる。

 研修の体系化が図られ、研修内容においても学校及び児童・生徒の実態を直視した講座を編成している現実を踏まえ、これからは、教師一人一人が教科の指導に必要な専門的知識や技能及び高い資質や人格性を身につけるための研修のより効果的な運営の方策を考えなければならない。例えば、科学技術の著しい進展の中で生きていく人間の育成を図るための学習指導には、一層の教育機器の活用と教育工学的視野に立った授業の改善が必要であり、情報化社会や国際化社会に応用できる力を養成するためには、コンピュータを意図した授業の設計が要請される。また、外国語の指導に当たっては、音声による指導を重視し、ネィティブスピーカーの協力やLL機器の具体的活用が望まれる。これらは教科を問わず学習指導法の改善の一つとして考えなければならないことであるから、これまでの平面的研修内容を基盤に、これらの立体的指導の在り方を研修内容としてどのように位置づけていくのかを探求する必要がある。

 教育的課題が山積している今日、これらに適切に対処し児童・生徒の成長発達と人格形成を援助するために、教師はあらゆる研修をとおして自己を磨くとともに指導力向上を図るよう努力しなければならない。本来、研修は、その研修内容が教師自ずから児童・生徒一人一人に還元されたとき、はじめて効果をもたらすものである。

 当教育センターの研修が、児童・生徒一人一人にとって、基礎・基本の定着と個性の伸長が図られ、自己学習力・自己教育力が養成され,さらには、自立の精神を持って国際社会に飛躍する力を修得するための素材となり、ひいては、新しい学校教育の在り方を創造する一助となるよう期待されるところである。


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