福島県教育センター所報ふくしま No.97(H02/1990.11) -014/038page
提言
新しい二一ズに応える相談部事業の推進
教育相談部長 阿部 貞夫
急激な社会の変化の中で、21世紀に生きる逞しくしかも心豊かな子どもの育成が急務とされているが、現実には、生活体験の不足等により社会性が乏しく耐性が十分育たないために、各種の問題行動を示す児童生徒の増加が社会的な問題となってきている。
なかでも、教育界はもとより社会的にも大きな問題とされ関心の的になっていることの1つに、年々増加の一途をたどる”不登校”の問題があげられる。
このような現状に鑑み、県教育委員会の新規事業として「登校拒否対策会議」が設置され、その活動を開始したところであるが、本センターにおいても、以前より、”不登校”問題をはじめとする様々な問題行動への対処の仕方についての研究、教員の児童生徒への対応力を高めるための研修講座の開設、更には、それら問題行動の改善・解決を図るための教育相談の実施など、児童生徒のよりよい成長のために各般の事業を推進しているところである。
以下、本教育相談部業務の中心となる三つの事業の概要について述べてみる。
(1) 研修事業
本事業は、小・中・高・盲・聾・養護学校の教員を対象に、学校カウンセラー講座(初級、中級、上級)と生徒指導講座(小・盲・聾・養護学校、中・高・盲・聾・養護学校)の5講座を開設し、児童生徒の理解とその対応力を高め、もって教職員の資質の向上を図ることをねらいとするものである。
また、基本研修で”生徒指導・教育相談”に関する内容を担当したり、義務教育課主管で各教育事務所ごとに実施する「カウンセリング研修会」をはじめ、各学佼の校内研修や地区の生徒指導研究協議会等に、要請に応じて講師を派遣しながら、日常、児童生徒と直接かかわり合っている教員の、教育相談的手法による対応力の向上に努めている。
(2) 研究事業
本センターの研究事業の基本方針を受け「事例を通した教育相談の進め方に関する研究」を主題に、プロジェクト研究を進めている。昭和59年度から4年間は、問題行動に対する「治療的な指導援助の在り方」、63年度と平成元年度は「予防的な指導援助の在り方」の研究を進め、その成果を発表してきた。なお、本年度からは「開発的な指導援助の在り方」に関する研究に着手したところである。