福島県教育センター所報ふくしま No.97(H02/1990.11) -015/038page

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(3) 教育相談事業

 ”不登校”をはじめ様々な問題をかかえる児童生徒の改善・解決を図るため、教育相談の時間を設け、毎日午後に来所する児童生徒・保護者・教師等の相談に応じている。なお、電話による相談にも、随時応じている。

 以上が、本教育相談部における事業の概要であるが、これらの事業のより一層の充実を図るために、次のような課題に適切に対応する必要がある。

 (1) 人間尊重を基盤にした教育相談の実施

 昨年11月の第44回国連総会で採択された「子供の権利に関する条約」を待つまでもなく、相談内容の秘密厳守については、十分意を尽くしてきたところであるが、今後はさらに、子供の人権尊重の立場を厳しく貫く姿勢をとることが求められる。

 このようなことから、ややもすると訓育的指導に陥りかねない生徒指導から脱却して、十分な児童生徒理解に基づいた、より予防的・開発的な指導援助が推進されるよう、教員の意識の改革を図ることも急務である。

 (2) 講座内容の拡充

 学校カウンセラー講座初級を、全面的に各地区での開催とし、受講者数の増加を図り、本センターでは、その中級・上級の講座内容の質的向上を図りながら、より対応力のある教員の養成に努める必要がある。

 (3) 不登校児童生徒に対する「適応指導教室」の試み

 文部省では、本年度の新規事業として「適応指導教室」を全国14ケ所委託し実践研究に入っているところであるが、本センターにおいても、不登校児童生徒の個別カウンセリングにより自立心・社会性・協調性を育て、学校生活への適応力を育成するための「適応指導教室」のあり方について検討する必要がある。

 (4) 各教育相談機関等との連携

 本センターでは、以前より、福島医科大学との連携を図りながら相談業務を推進しているが、多様化する問題行動に適切に対応するには、各教育事務所・精神保健センター・保健所等及び優れた指導者(学校カウンセラー講座上級受講修了者等)との連携を図るなど、相談のネットワークを拡充していく必要がある。

 (5) 資料の整備とより機能的な相談体制の確立

 本教育相談部開設以来の豊富な相談事例を集大成し、その資料を基に、問題行動をもつ子どもへの指導で悩む各学校の二一ズに応えられるような相談体制を確立する必要がある。

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