福島県教育センター所報ふくしま No.97(H02/1990.11) -028/038page

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思い出すまま

横内 直典

元教育相談部長
(昭52〜56)
横内 直典

 一番先に思い出されることは、相談件数が年々増加することに伴い、相談部の使命は一体何なのか、部員一同悩んだことである。結果として、相談の実施は、講座のための事例収集と提供、そして県民へのサービスと考えることで解消したのであった。また、サービスの一環として、県北地方に偏りがちな相談を少しでも解消する一方法として、いわゆる「出前相談」の実施に踏み切ったことも思いでの一つである。

 それから、研修講座においては、講座の導入として行ったディスコダンスから始まる「自己への気づき」という新しい試みは、当時、相談部では何を考えているのかという陰の声もあったように聞いている。一方、現場の先生方は、授業の中に無意識に相談的な手法を取り入れているが、これを意識化することによって、子どもの心を知ることの手がかりになることを、改めて理解してもらうために、各教科講座に「相談的な教師」の一コマを入れたのも画期的なことであった。

 いずれにせよ、その時々の流れをつかみ、実際に役立つ相談情報の提供や、相談活動が、脈々として受け継がれ、県民の期待に応えるように努めることが、教育相談部、ひいては、教育センターの充実発展につながることを願っている者の一人である。



”思い出”
プロジェクト研究を通して

村上 幸男

元学習指導部長期研究員
(昭61〜平元)村上 幸男

 プロジェクト研究発表会の前夜、最後の仕上げ「もう少し大きな声で」「声はいいけど、一呼吸おいて」・・・発表の一言一旬に力が入る。今まで激論をかわしてまとめた研究だけに妥協は許されない。発表にも多様なアイディアが出され、よりよいものへ練りあげられていく。

 先日、近所のある企業に勤めている人が「先生、今は頭を使いますね。宿題があるのですよ。」、どんな宿題かを尋ねると「発想ですよ。例えば、摩擦のないブレーキなどアイディアを出し合って考えるのです。なかなか思いつかなくて・・・」という。QC活動といって、新たな発想を生み出すためのプロジェクトを組み、勤務時間外に品質の改善等研究している。そこでは、個性を生かし会社全体の活性化を図っている。

 個性を生かすことによって創造性が生まれる。まさしく、県教育センターには、小中高と校種の異なる先生が一つの研究に口角あわを飛ばして創り上げていくことで他に先駆けた実践的な研究が生まれていくと考える。

 発表会当日の朝「これ、なめるといいよ。」とスプーンで浅田あめをくださった先生、「コーヒー飲もう。」とさそい、温かく励ましてくれた先生など、今でも人間の”味”を忘れられない。


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