福島県教育センター所報ふくしま No.98(H03/1991.2) -001/038page

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(巻頭言)

機  器  の  活  用

磯 部 紀 郎


科学技術教育部長  磯 部 紀 郎

 私たちの生活は科学技術の発達によって大変便利になった。電話、テレビ、コンピュータ、・・・といった機器を手軽に利用し、生活を楽しんだり、仕事を能率よく処理したりすることができるようになった。しかし、私たちはこのような機器を有効に活用しているだろうか。私たちの友人が先日、いろいろな機能を持った便利な電話機を購入したとのことである。留守録音はもちろん、外出先からリモコン操作によって電話の転送までできるという。ところが、使って見ると操作が複雑でとても使いこなせないという。これは一例にすぎないが、最近の機器は性能が高度になり、活用が追いつけないことがしばしばあるように思える。

 学習指導要項が告示された。その改善の柱の1つは、情報化への対応である。21世紀の高度情報社会の到来に向けて、自己を情報の中に埋没することなく、社会の変化に力強く生きて行くための教育が必要であると述べている。そして小、中、高校の学習指導要項にコンピュータの活用が位置づけられた。これに伴い本教育センターでは、平成2年度から情報関係の研修を大幅に増やすとともに研修内容の充実を図ってきた。

 しかし、コンピュータという高性能の教育機器を活用するには、研修の充実とともに学校環境の改善が重要である。それは、学校の組織の中に活用しやすい体制を確立することである。これまでは、一部の教員が個人レベルで学習指導や事務処理に利用してきたが、これからはコンピュータの購入、設置、研修、活用範囲、ソフトの整備・管理などについて学校全体で共通理解を図る必要があろう。また、情報に関する係を校務分掌に位置づけるなど、新しい時代に合った学校運営を図っていく必要がある。

 また、コンピュータの活用にあたっては、情報の管理に十分注意する必要がある。わずか10cm四方のフロッピーディスクに約1000頁の小説が記憶されるという。そして、コンピューターを使用すれば、その内容を即座にコピーしたり、プリントしたり、書き換えたりすることができる。従って、学校全体で情報の取り扱いに気をつけなければプライバシーの侵害や無断コピーといった問題が生ずるであろう。

 コンピュータは従来の教育機器に比べて多くの機能を持った高性能の機器であり、学校への導入がますます進むであろう。教員に必要な力量の1つに情報機器の活用があげられているが、あくまでも教員のツールとしての活用が大切であり、児童生徒と教員のふれ合いの教育を忘れてはなるまい。


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