福島県教育センター所報ふくしま No.98(H03/1991.2) -004/038page
所員個人研究 ―(教育研究)
パソコン利用による学習環境の改善
小学校算数科における教材開発と有効性の調査
学校経営部 団 野 勝 一
1. 研究の趣旨
コンピュータは情報化社会において、重要な役割を果たすと考えられ、小学校にもパソコンが導入され始めている。
実際の設置状況は、全国で、普及率30.9%、設置校平均保有台数3.1台である。(文部省調査平成2年3月末現在)
福島県では、普及率18.8%(104校)設置校保有台数2.6台であり、1台だけ導入されている学校が70校で、10台以上は5校にすぎない。(福島県教育センター調査平成2年3月末現在)
また、設置場所については、職員室69.3%、専用教室11.3%、特別教室9.4%、普通教室5.0%、図書室3.7%の順になっている。(上記文部省調査)
この結果から、小学校では教科の指導より事務処理に多く使われていることや、使用台数が少ないため、個別化のための活用は難しいことが推察できる。
芦葉浪久氏(十文字学園短期大学教授)は、この実態から「現状では、一斉授業の中で、1台のパソコンの活用、学習のツールとしての活用」を考えるのがよいであろうと指摘している。
しかし、小学校でのパソコン利用の意義は、「学習の個別化の実現、情報活用能力の育成、授業改善と学校教育の活性化」(新教育機器教育方法開発研究報告書 日本教育工学振興会)にある。
すると、小学校では、本来の利用の意義とは異なる使われ方が多くなされていることになる。この原因の一つとして、パソコン導入のための学習環境(学習に影響を与える外的条件としての物的環境、人的環境等)が整っていないことをあげることができる。
本研究では、物的環境としての教材開発や教具の活用、そして人的環境としての教師の授業設計に焦点をあてる。1年次は、一斉授業での1台のパソコンの活用の有効性と授業の最適化について調査研究し、学習環境の改善のあり方を追求していく。本稿では、小学校5年、算数「円の面積」におけるパソコンの教材の開発とその教材提示で、知識がどのように定着したかの調査結果を分析し、パソコン教材活用の有効性を明らかにしていきたい。
2. 研究の計画
(1)教材作成支援ソフト「TMOS」
(ロイヤルカレッジ社 PC-9801用)による自作教材作成
(2)研究協力校による授業実践と質問紙法による調査