福島県教育センター所報ふくしま No.98(H03/1991.2) -021/038page
生徒指導・教育相談実践講座
あなたもカウンセラー
― グループ指導を通して ―
教育相談部 佐久聞益郎・伊勢 英子・赤塚 公生
昨年11月の終わり、私達は一通の手紙をいただきました。教師になって3年目という、中学校で英語を担当する若い女性教諭からのものでした。その手紙には、この4月から担任としてかかわり続けた一つの事例についての詳細な資料と経過が記され、助言をいただきたいと書いてありました。グループ指導の一つの例として参考にしていただきたい内容ですので、校長の許可を得て、ここに紹介したいと思います。なお、事例の特定を避けるため、細部を変え名前は仮名にしました。
95号 校内研修に基づく不登校児への
対応例
96号 喫煙をした女子中学生
(* 97号 特集号につき休み)
98号 シンナー吸引をする3人の女子
中学生とともに
シンナー吸引をする
3人の女子生徒とともに
初めてお便り申し上げます。
私が現在担任として指導している一つの事例について、何かアドバイスしていただきたいと思い、突然ですがペンをとらせていただきました。
現在、私は中学3年生の担任をしておりますが、クラスに美香という生徒がいます。2年の時には、教科担任として1年間接してきた生徒ですが、家庭環境が複雑な上、本人もこれまで喫煙、万引きなどで何度か特別指導を受けてきています。
前担任からの引継ぎもありましたし、私も注意していたつもりですが、5月の連休中に、同級生のかおりと由紀子を誘ってシンナーを吸引していたことが分かりました。
かおりと由紀子は、2年までは美香とはほとんど付き合いもなく見えた、目立たない普通の生徒でした。
事実が判明したのは、補導された暴走族グループが、シンナーを渡していた相手を追っていくうちに、美香たちの名前があがってきたためです。調べていくうちに、この3人が2年の秋ごろから時折りシンナー遊びをしていたことも分かってきました。救いは暴走族グループとのつながりが比較的薄かったことです。
担任として
美香たち3人は、校長、学年主任、生徒指導主事の先生方から厳しい指導を受けました。3人の保護者も呼ぱれ、一緒に厳しい注意を受けましたが、私は担任として同席していて、美香の険しい表情が気になっ