福島県教育センター所報ふくしま No.98(H03/1991.2) -032/038page
3 かけ算九九の習熟1つの九九の構成が終わると、次時はその習熟にあたる。初めに、「上がり九九」で正確に覚える。次に、「とび九九」でお互いに言い合う。そして、「下がり九九」で定着を図るようにした。また、「とび」「上がり」「下がり」の順にひとりひとりが皆の前で九九を唱えるよう指示し、間接時に何度も練習させた。3つの九九の構成が終わったころから「かけ算すごろく」ゲームを取り入れた。九九の構成に時間がかからなくなった分の時間をわりあてることができた。ゲームは、それぞれの九九のカーど3枚(とび、上がり、下がり)を適当に並べ、サイコロをふって目の数だけ進む。そして、駒がのったカードの九九を唱えるという簡単なものである。(下写真)
子どもにとってゲームは、熟中できるものの1つで、九九を覚える意欲も高まり、ルールの決定やあがりの記録も自分たちでやっていた。しかし、流暢に九九を唱えていなかったので、「九九合格カード」で個人的に点検し、習熟を図った。やはり言いずらい「七の段」でつまずきがみられたが、回を重ねるたびに速く言えるようになった。何秒で言えるかなどの唱え方もためしてみた。
4 「ばい」概念とかけ算九九の表同じパターンで学習してきたので、同じ数のいくつ分というおさえはできるようになった。しかし、「□ばい」については、さらに別の当習材が必要である。テープ図が最もわかりやすいが、これまでの階段状の絵の1マスに注目させて「ばい」の意味をとらえさせるようにした。特に、「1ばい」の理解には、十分な時間が必要であった。
「かける数」を横に、「かけられる数」を縦にとった「かけ算九九の表」も教科書の例に習い作成し、6×7=7×6というような乗法のきまりに目を向けるようにした。今後は、この表を利用し、「九九表早見陣取り」ゲームを考えている。
以上のような取り組みをしてみたが、学習面以上に生徒指導面でも効果があった。ルールを自分たちで決めて、お互いに注意しながら守ろうとする態度が出てきた。グループの中で競い合うので、よい競争心が育った。スムーズに言えない子には、ゆっくり待ってあげたり、そっと教えたりするなどの思いやりの心も生まれた。そして、何といっても、一生懸命やれば、「学習内容がわかり、できる」自信がついたことで、2時間ごとの授業が充実するようになった。
間接指導がこのようなものでよいか自信はないが、さらに効果的な自学自習ができるような学習材と互いに協力し合って楽しめるゲームを考えていきたい。