福島県教育センター所報ふくしま No.99(H03/1991.6) -006/038page

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3.「学習カード」調査結果の分析と考察
(1) 学年別、単元別使用状況
中学校においては、学年に関係なく平均しているが、小学校とは違い「球技」での使用が目立 つ。また、陸上競技の長距離走での使用が多いのは、記録を伸ばしやすく意欲の向上を図るのに 扱いやすい単元であると考えられる。 走り幅跳びと走り高跳びでの使用率が極端に低い理由を調査するまでには至らなかったが、技 能の向上をねらうのであれば学習カードを使用しやすい単元ではないだろうか。
(2) 使用のねらい
小学校では、ややばらつきが見られるが、中学校とも「進歩を自覚させる」「楽しさを味わわ せたり、学習意欲を向上させる」をねらいとしているのが最も多い。また、この項目を選ばなか った先生方の理由は、情意的な面を数字等で表す困難さとそれに伴う評価の難しさを指摘してい る。
(3) 記入上の問題点
「記入の時間」「事後処理の時間」についてあげているが、更に注目すべき点は「児童生徒がま じめに記入しない」の項目で小学校1.4%、中学校58.8%と大きなひらきがあるのは、単に児童生徒 の発達段階の相違として片づけられない、自己評価相互評価の難しさや、教師側の指導法の改善・ 工夫の不足などが考えられる。
また、「学習カードのねらい」の設問で、「運動の楽しさを味わわせたり........意欲を向上さ せる」の項目が88.8%と高い値を示したのにもかかわらず、問題点としてあげられている「興味・ 関心・態度に関する項目が少ない」では約13%と低く、先生方が情意面の評価の必要性を十分感じ ていることが分かるが、現実としては、多くの問題点が妨げとなり、「技能・記録」中心の評価が 主流にならざるを得ないのであろうが、児童生徒の内面的なものを生かし伸ばす授業とその評価は これから更に大切になるであろう。

4.まとめ
個性を尊重し、一人一人の児童生徒の可能性を全面的に伸ばそうとする新しい学校体育では、自 己評価、相互評価を必要とする。今回の調査にも見られるように、学習カード作成、記入上の問題 点が多く出され、特に情意面をどう評価するかでは、事後処理の能率的な方法や、運動量の確保を 前提においた記入事項の精選と記入方法の工夫が大きな問題点となる。
これからの課題解決策の一つとして、児童生徒の情意面の変容を分かり易くとらえることをめや すとし、客観的に見た「楽しさ」「意欲」などの心の動きを児童生徒に提示することに着目するこ とも大切である。

<本研究のデータは、当教育センター科学技術教育部のコンピュータを使用し情報処理教育係の 所員の協力で処理をした。>


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