福島県教育センター所報ふくしま No.99(H03/1991.6) -015/038page
3.予防的な指導援助の経過
ここでは特に、表5に示した13名の児童について3つに大別して述べてみる。
(1) 潜在的不登校傾向の強い児童への指導(予知チェック 20点以上)
○ 児童との信頼関係をつくる。
○ 良さを見つけてほめてやり、自信をもって行動できるようにする。
○ 相談日を設け、児童の考えを聴く。
(2) 周辺児、孤立児への指導(ソシオメトリックテスト下位集団 0)
○ 休み時間や下校時等の行動から人間関係を把握する。
○ 共にいる時間を作り、声をかけ自己存在感をもたせる。
○ これらの児童の良さを学級全体に理解させ、認められるようにする。
(3) 情緒不安定型の児童への指導(Y−G性格検査E型系) ○ 集団生活の良さ、きまりの理解。
○ 家庭の協力依頼。
これらの指導の後、第2回の予知段階チェックリストを実施し、1回目と比較した。個別的に指導した児童の中には改善された者も見られた。No.4、No.17、No.27、No37等
4. 予防的指導援助による変容
(1) 児童の変容
○ 周辺児や孤立児の集団への参加が見られ、遊び仲間がふえた。
○ 協力し合う姿や認め合う姿が多くなったが、まだ、短絡的な理由で友だちを選択、排斥する傾向が残っている。
(2) 教師の変容
○ 児童を多面的に良いところを見て接するようになった。
○ 叱る、注意することより、認める、ほめることがふえた。
○ 教えるから共に学ぼうとする気持ちが強くなった。
(3) 親の変容
○ 親子の会話が多くなり、買い物や家事など共にするようになった。
○ 親の指示、命令が減り、子どもの考えを聴くようになった。
○ 行動の背景を考えるようになった。
5. まとめ
○ 潜在的不登校児はどの学級にもいるということから、教師は経験や知識にのみ頼ることなく、児童生徒の言動 見極めた指導をしなければならない。
○ 予防的な指導援助は、親や教師の考え方を変え、児童生徒の言動に余裕をもって対応できるようになった。
○ 意識した指導を学校と家庭で行えば、改善の方向へ向かうことから、教師による児童生徒や家庭への関わりが重要である。