福島県教育センター所報ふくしま No.99(H03/1991.6) -017/038page

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随想


感性をそだてる

学校経営部長   小 川 兼太郎

 2泊3日の宿泊訓練を終えて、ちょっぴりくたびれた様子の6年生と話をしました。
「宿泊訓練はどうでした?」と話かけると、「くたびれた。」、「つまんなかった。」と答える子どももいますが、大方の子ども達は「楽しかった。」、「面白かった。」と目をひからせて楽しそうに話してくれました。キャンプファイアーを囲んでの交歓会の様子や夜空の星の輝きに驚いたことなど話は尽きません。子ども達の喜びがひしひしと感じられて、今までの先生方の苦労が報われたことを知りました。
 学校では、体験学習を積極的に取り入れた教育活動を実施していますが、子ども達に豊かな心が確実に育っていると実感しました。
 今の子ども達はTVをはじめとした情報機器の中での「受身」の生活態度が幼少期より続き、自分から積極的に働きかける機会が少なくなっています。つまり間接経験中心の生活です。そこでは、よく言われるように「知識の拡大」はあっても、子どもたちが生き生きとした生活を送る上で大切な感性の発達が阻害されています。喜怒哀楽等の感情を大切さ、さらには、いろいろな感じ方があることを学び、感情的存在としての自分に気づいていくものと考えます。そのためにこそ学校では自然や生活の中で直接体験を大切にした教育計画を作成し実施しているところです。
 しかし、感性を豊かにすることが最も求められているのは、私たち教師に対してではないでしょうか。毎日限られた生活空間で同じような生活パターンの繰り返しになりやすく、あっという間に月日が過ぎていくようです。まず私たちが生き生きと日々の生活を送り、豊かな自己表現を果たしていく努力をし、感性を豊かにして内面世界の充実を目指す必要があると思います。
 JMC能力開発センター代表取締役 国司義彦氏は「感性を高める十ヵ条」として次のように述べています。
1.自然の摂理を知る。 2.良い環境の中で感動を味わう。 3.末端、現場を知る。
4.快・不快の印象を大切にする。 5.自分と違う立場の人の存在を知り、認める。
6.いつもとちがう環境に身を置いてみる。 7.歴史をふりかえる。 8.古典を学ぶ。
9.好奇心を大切にする。 10.静かに自分を見つめる。


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