福島県教育センター所報ふくしま No.101(H03/1991.11) -014/038page
〇母親の焦りや不安を取り除くために,心情を受容し,精神的な安定を図る。
〇担任から,S男に関する情報を収集し指導の連携を図る。
6.指導援助
・初回面接では不安と緊張からことばも少なく,落ち着きのない状態であったが,本人の得意な運動を実施した後は,人が変わったように生き生きとした表情になった。
この様子から2回目以後の面接にキャッチボール,バドミントン,バスケットボール,卓球など,S男の好む数種の運動を選択させ毎回活動させることにした。運動後は,素直に現在の心境や,こうなりたい自分の姿を話すなど,次第に情緒の安定が図られていった。
・その後の相談から,S男は学習に対するストレスが高く,うまく学習集団に適応できないことがわかった。
・そこで次のl1)〜(4)のような段階を経て,再登校できるよう援助した。
(1)学級や学習に関係のない,集団への参加【少年ソフトボールヘの参加】・S男との会話の中で,次のような不安が分かる。
T「S君ソフトボールしていたの?」
S「ん〜でも今はやっていないよ」
T「やってみたいと思ったことは?」
S「やりたいけど………だけど………僕学校に行っていないからなあ」
・思いっきり動いた後は,気分がスッキリするためか,ソフトボールをして友達と遊びたいというS男の気持ちがわかった。
⇒このことから担任に連絡を敢ってS男が継続してソフトボールの練習ができるように配慮することにした。
・これを契機に友達とのっながりが強くなり,自宅に友人が頻繁に遊びに来るようになった。
【長期休業中に】
・長期休業中,毎日のように友達と遊ぶようになった。
⇒担任の計らいで、学習が遅れ気味の児童を集めて、勉強会を開いた。
・休み中であるとはいえ,教室に入り,学習が遅れ気味の4,5名の生徒と一緒に勉強し,宿題もほとんどできて,登校に自信を持つようになっていったと考えられる。
・S男は友人に3学期は学校へ行くと,自分から約束した。
(2)学級外での学習への適応
【校長室登校の試み】
⇒まだ登校することへの抵抗はあるが休業中に友達関係が深まり、課題などに取り組むようになった。
学習に対する意欲も出てきたことから、少しづつ登校刺激を与えた。
登校刺激のポイント
〇必ず登校しなくてはならないという意識をさせない。
〇時間はいつでもよい。
〇場所は教室でなくても構わない。
など、安心して学校に行けることばかけをする。
その後,長期休業明けから短時問ではあるが,学級に入ることのできないS男が校長