福島県教育センター所報ふくしま No.101(H03/1991.11) -021/038page

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所員個人研究−(生徒理解)

生徒理解のための
テスト・バッテリーの工夫と活用

教育相談部   鈴 木 喜三郎

1.はじめに
生徒の問題行動は,顕在化した時点では様々な要因が複雑に絡み合い,改善には多くの時間とエネルギーが必要である。そのために,「問題行動の改善」だけの指導援助から脱却し,「問題行動の予防」「開発的な指導援助」の必要性が強調される。
 このことは「生徒一人ひとりをいかに理解し,その理解内容を,生徒の将来への向上に結びつけるための指導援助にどう活用するか」という課題も内包していると考えられる。
 しかし,生徒理解の一方法として行われてきた従来の調査検査には,
  「教師」が生徒の資料を得るためという調査検査の位置付けから抜けきれず、
「生徒」が自分を理解するためという「生徒優先」の観点からは外れている

という問題があった。 そこで,一般に使用されている調査検査に工夫を加えて,生徒一人ひとりを適切に理解できるようにし,さらに,効果的に教育相談に活用するためにテスト・バッテリー化を工夫した。そして,研究協力学級での実践を通して,その有効性を検証することにした。 以下に,調査検査の工夫内容と教育相談への活用に関する概要を紹介する。
2.調査検査の工夫
(1)工夫1「ソシオメトリック・テストと学級社会的距離尺度図の統合」
調査検査は活用の面から,資料1のように2つに大別できると考える。
【資料1】
活用面からみた調査検査の大別
[A]→生徒の実態等に関する資料を得るために実施するが、
通常は、内容的に生徒への返却・説明は行いにくい。
(ソシオメトリック・テスト、知能検査等)
[B]→実施することが、生徒の自己理解等につながり、結果
は、教師の持つ資料としてだけでなく、教育相談などを
通して、生徒へも伝えることができる。
(エゴグラム、学級社会的距離尺度図等)
 Aは,内容的に直接結果は伝えにくいがBは,生徒にとって「活用が見える」ものである。しかし,Aの持つ資料性には重要な意味があることも事実である。
 そこで,この2つの調査を統合し,資料2のような調査用紙を開発した。

【資料2】
【資料2】



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