福島県教育センター所報ふくしま No.101(H03/1991.11) -023/038page

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【資料5】
【資料5】


3.調査検査のテスト・バッテリー化
 工夫改善された3つの調査検査が持つ目的をまとめてみると
・「学級集団と自分の関係」を知る。
・「自分の性格傾向」を知る。
・「級友を認めようとする傾向」を知り,「自分のよさ」に気づく。
ということになる。これらを活用すれば,より効果的に教育相談が実施できると考え,テスト・バッテリー化して,研究協力学級に実践を依頼した。以下は,その効果や生徒の反応を集約したものである。
1.学級社会的距離尺度図は「排斥」という用語にやや抵抗は示したが,自分を見つめる資料としては効果があった。
2.ソシオメトリック・テストと学級社会的距離尺度図を別々に実施するときと比較して,矛盾は少なくなり,資料価値が増大した。
3.学級のリーダーとして活躍する女子生徒のエゴグラムを調べてみると。ACが高く,過剰適応をしていることが分かったため,その結果を理解した上で教育相談を実施することができた。
4.自分の性格を知ることに関心を示す生徒が多く,発展して職業に関する検査を希望する生徒も見られた。自分の「脳み」や「性格」などを知りたいというような反応は,高学年ほど多い。
5.「よさの発見」は,ゲスフー・テストとしてのイメージとは異なり,生徒が級友のよさを考えている過程そのものに意味があると思われる。
6.「よさ」に関する選択肢の項目は,実際の学級の実態に合わせた方が効果的ではないかと思い,改善して実施した。
7.生徒とともに読み取りを行うことで,調査
に対する懐疑的な態度を和らげることができたのではないか。
8.ソシオメトリック・テストの処理が可能になっていることは良かった。特にソシオグラム等が得られることはメリットでもあった。

4.今後の課題
 研究協力学級の反応から,本調査は十分に教育相談に活用できることが確認できたと考える。
 今後は,調査用紙をテスト・バッテリーとして統一してまとめることと,生徒用の自己評価資料を作成すること,さらに,それらの有効性を検証することが,生徒の将来への向上心を育むために必要な作業になると考えている。


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