福島県教育センター所報ふくしま No.101(H03/1991.11) -024/038page

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学校からの実践報告

個人差に応じためあてをもって意欲的に取り組む
体育指導の工夫
−ステップカードを活用したマット運動の実践を通して−

会津若松市立城西小学校教諭   岡 村 三 夫

1.はじめに
 低学年の運動は遊び的要素を含んだものが多いため,能力差がはっきり目立たず,どの子も楽しんで参加することができる。しかし,高学年になるにっれて,高度の技術を要するものが多くなり,できないと恥ずかしいとか,いつも順位が決まってしまう等の理由で,運動意欲を失う子どもが増えてくる。実際にアンケートを取ってみても,学年が上がるにしたがって体育が好きだと答える子どもは減ってくる。生涯体育を考え,体育好きの子どもや運動を楽しむことのできる子どもを育てるためには,現在の一斉指導によるドリル的練習を反省し,一人ひとりに見合った方法と細かな段階練習によって,目標達成の喜びを体感させることが肝要だと考える。
2.研究の見通し
 個人差を把握し,一人ひとりに見合った到達目標の設定とそれに至る過程を明示したステップカードを活用した指導過程を組めば,どの子どもにも達成の喜びを体感させることができ,運動が好きな子どもを育てることができるであろう。
3.研究の実際と考察
(1)器械運動を日常生活の遊びの中に取り入れる工夫
 授業の枠だけにとらわれずに,学校での休み時間や放課後にも主体的に取り組むことができるようにステップカードを作成する。今の自分の技能段階を確認し,次にどの段階にすすめばよいかが明らかになるので,学習意欲がわいてくる。休み時間や昼休み時間に同じ課題をもっ子ども同士が集まり互いに励ましあって精いっぱいがんばる姿が見られた。<資料1>

<資料1 腕立て側転ステップカード>
<資料1 腕立て側転ステップカード>

―学級班ノートから―
 今日,僕は昼休み時問に,逆だちの練習をした。やり始めた時は,壁まで足が届かなかった。友達が「目を壁の方にむけたら。」と言ってくれた。そんなことを注意して何回も練習したら,できるようになった。とてもうれしかった。早くステップカードに色をぬりたいなあ。


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