福島県教育センター所報ふくしま No.101(H03/1991.11) -029/038page

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S …そうでしょうか。
T もっと自信を持っていいんじゃない?
S …自信ですか?
T そう!自信だよ。もっと自信を持って行動していいんじゃない?
S …。
T ○○君とはまた2日後に話をしたいね。
S はい。またお願いします。
 このような面接相談を通して,生徒は学級の友人から認められているという自信を持ち,さらに学級担任からの「認め」や「励まし」によって,「肯定的な自己像」を確立することができるようになった。

5 学級に積極的な動きが出てきた
 10月中ごろから,学級内には少しずつにぎやかな話し合いや,意欲的な活動が見られるようになった。特に学級の役員や各係の生徒には,学級をリードしようとする一段と積極的な動きが見られるようになった。
 また,教科担任からは,「授業への取り組みが積極的になった」「授業での発言が多くなった」という情報が寄せられた。
 さらに,中間テストの結果にも生徒たちの頑張りの跡が見られ,一学期末の成績と比べると大幅なアップとなった。

6 「自分を見つめて」(LHRその2)
 一連の指導援助のまとめとして「自分を見つめて」という題で作文を書かせた。
○「長所」を見つける調査や先生のアドバイスから,自分にもこんな「長所」があるのだと分かって,自信が持てるようになった。
○私は自分のことについてよく分かっていたつもりだったのですが,先生や友人から今まで気づかなかった「長所」を教えてもらって,新しい自分を発見したような気持ちです。
○自分について深く考えさせられました。自分には「短所」が多いけれど,「長所」でカバーしていけると思いました。自信を持って行動しようと思います。
 このように作文にも,担任や学級の友人からの認めによって,自分の存在に自信を持ち,自尊感情が高まった様子が多く見られた。

7 まとめ  自信の持てない生徒に,「学級の友人の長所を見つける調査」を実施し,その結果を資料として面接相談を行ったことによって,生徒が教師や学級からの「認め」を確認できたことは,生徒に自信を持たせ,自尊感情を高めさせるのに大変有効であった。
 また,学級担任が,教科担任からの好ましい情報やテスト結果等を,機会あるたびに意識的に生徒に紹介し,「賞賛」「励まし」を贈ったことも,生徒に自信を持たせ,自尊感情を高めさせる結果となった。
 これらの指導援助によって高められた自尊感情を,今後の適切な学習指導や進路指導等によって,将来への向上心を高めさせていくものに結びつけていきたいと考える。


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