福島県教育センター所報ふくしま No.104(H04/1992.8) -011/038page
表(2)は全項目についての状況である。下降者数が多いようにも感じられるが,問題のレベルアップによると考えられる。表(3)見ると,全体的に,基礎・基本の定着が少しずつ図られているように感じられる。これは,時間が余った生徒はコース以外のプリントに,自主的に取り組んでいたこと,あるいは基礎的事項の復習に興味を持ち始めたことなどが原因としてあげられよう。
表 (3)
正答率0の項目数 事 前 テ ス ト 152 事 後 テ ス ト 84
下のグラフは,到達度テストの総合成績により10名単位に分けた学カグループごとにみた上昇者下降者の数である。
2.4領域別コ一ス学習の状況
生徒の英語科学習に対する意識調査の結果から一人一人が輿味を持っている領域を把握し,グループに分けて,単元のまとめの時間の20分を領域別コース学習の時間として設定した。「他のグループの音声が気になる」「4領域別に教材を準備することに時間がかかる」「領域ごとの終了時間に差がある」などの問題があげられ今後の研究の課題は多い。しかし,生徒が喜んで生き生きと取り組んでいる様子などから,英語科学習に対する意欲を向上させるため,あるいは,4頷域の学力を平均して伸ばすためには,今後研究を進めていく価値がある指導法だと思われる。
5.研究のまとめ
今回の研究では,英語の学力差が生じた生徒に,基礎・基本の定着を図るためには授業の中でどの様な手だてを取っていけば良いかにっいて,一人一人の定着度に応じたコース別学習を中心にして,興味に応じた4領域別コース学習も試みながら取り組んだ。定着状況に応じたコース別学習については,ある程度の成果と今後の方向性を感じることができた。しかし,到達度評価テストの内容の吟味が大変重要であり,今回のテストの内容では生徒の真の実態把握にはまだ不十分であった。また,テスト結果から一人一人のカードを作るまでの過程は,多くの時間と労力を要するため,省力化する方法について研究を重ねなければならない。4領域別学習においても,生徒は興味を持って行うが場所や時間の問題が残されており,T-Tの利用も考えながら指導形態や教材の内容について十分に研究していかなければならない。このように様々な課題はあるが,個性を重視し個に応じる英語科の学習指導を考えていく上で,定着度や興味に応じてコース別学習を進めたり,その中で4領域別コース学習を取り入れていったりすることは重要であり,価値があることを今回の研究を通して十分に感じることができた。