福島県教育センター所報ふくしま No.104(H04/1992.8) -024/038page
<<学校からの実践報告> >
音楽の感性を育てる学習指導過程の工夫
船引町立移中学校教諭 向 美由紀
はじめに
本校では昨年度,「確かな力の定着を目指す授業の展開」の研究主題のもと,研究実践を進めてきた。以下は,音楽科における研究の概要である。
1.教科研究課題設定の趣旨
新学習指導要領の音楽科の目標を受け,音楽を聴き,それを味わったり,曲想から受けるイメージを思いめぐらしたりする「音楽を受けとめる能力=音楽の感性」を育てる方策は,
1. その曲の教材性に焦点を当てた基礎・基本を身に付けさせる指導過程
2. さまざまな曲の味わい方・感じ方を感得させる学習活動を追究することで解明できるのではないかと考えた。これらを究明することで,生徒自らが音楽の中に美しさや感動を求め,豊かな感性を身に付けられるような授業を目指し,標記の研究課題を設定した。
2.教科研究の目標
○ 教科の本質を踏まえながら,豊かな感性を育成するための授業の在り方を工夫する。(教科研究の視点での目標)
○ 豊かな感性を育てるための学習指導の在り方について実践的な研究を進める。(学習指導過程の視点での目標)
○ 豊かな感性を育てるために不可欠な相互啓発の場の効果的な設定とその方法を工夫する。(学習活動の視点での目標)
3.研究仮説
鑑賞の領域において,次の学びの道筋をたどれば,感性が豊かに育ち,音楽の美しさを味わう力が身に付き,生活の中に,生きて働く力となるだろう。
1. 「感じる」段階
楽曲を聴き,目由に自分なりに印象をまとめたり,情景を想像したり,テーマの聞き取りなどをする活動
2. 「他の感じ方を知る」段階
相互啓発の場の設定。生徒一人…人が,それぞれの感じ方や考え方があることに気づき,お互いのよさを目分に取g込んでいく学習活動
3. 「魅力を知る」段階
2の段階で広げた音楽の世界を教師側で焦点化・深化し,作曲者の意図,構成の特徴などの説明を通して楽曲の魅力を知る学習活動
4. 「味わう」段階
既習事項を生かしながら,目分の聴き方で楽曲を楽しむ段階
4.音楽科の「確かなカ」 (研究主題との関連)
音楽科鑑賞領域において育てたい「確かな力」とは,楽曲を聴いたときに,その楽曲の印象や魅力などを生徒なりに感じ取れる力ととらえた。そしてこれは,感動を受