福島県教育センター所報ふくしま No.104(H04/1992.8) -026/038page
の答えを出した生徒も,それぞれ自分の考えの裏付けともいえる理由が明らかでその意味では学習の深まりはみられたと考察できる。
7.第2次検証授業の考察
この授業では,「『月の光』魅力発見の旅」と題し, 不協和音 (ff・con animateとpp・dolceの演奏による比較で神秘性を感得させる) 形式 (変わり目での手ばたき) 出だしの情景描写 (自由に発言させ,修正しながら具体的な情景描写に気づかせていく)の項目に焦点を紋り,生徒に発見させてから説明するという形式をとった。
生徒たちは,次々に発見する「月の光」の魅力を楽しんでいたようだ。8.結果のまとめ
感じる心を育てるために,仮説にあげた4つの段階を指導過程に組織し,その中でも,感性の枠を広げる相互啓発の場に力点学習指導過程(第一次検証授業,展開の部分)を置きながら研究を進めてきた。検証授業後の感想で,友達の想像力の違いやすごさに驚く様子が強くみられ,生徒は楽曲のとらえ方の多様性,広がりを感じ取ったうえで作曲者の意図・楽曲の仕組みなどを知り,第一印象より深い曲の味わい方をすることができるようになってきたことも確信できた。この点で,今回の仮説に基づく指導過程は,豊かな感性の育成に有効に働いているといえる。
9.今後の課題
指示・発問の方法を練り上げることで,さらに相互啓発の場を効果的に機能させ,もっと音楽的な感性を拡大・深化させることができたのではないかと反省している。また,クラシック音楽の生活化を図るまでにはまだ難題が残っている。今年度は,この点を解明していきたいと考え実践的に研究を進めているところである。
学習指導過程(第一次検証授業,展開の部分) <参考資料>