福島県教育センター所報ふくしま No.104(H04/1992.8) -030/038page
つぶやいた言葉には,今度は学習に取り組んでみようとする心の表れが感じられた。その後,「S高校には,ぼくも行けますか。」などと高校進学について尋ねるようになった。将来に目を向けて,今までの生活の在り方を考え始めたように思われる。
5.まとめ
遊び・非行等に走ったB男がいままでの自分を振り返り,将来に目を向けるまでに立ち直りつつある。実践の中で,次のような指導援助が効果的であったと思われる。
・両親が子供の問題をありのままに受け止め,真剣にかかわっていくように担任は家庭訪問を続けながら指導援助した。
・B男の友達から学校や学級の様子を時々知らせ,学校に対する興味・関心を持続させた。
・当初は登校刺激を避け,悩みや心配ごとを話し合ってB男の心を理解することに努めた。
・心の安定した状態を見計らって,学校行事などをきっかけに,級友の協力を得て登校を促した。
・学年の理解と協力によって,担任は家庭訪問や教育相談を継続した。
今後はさらに,学習についていけない,活躍できる場がないという劣等感を取り除き,生き生きと学校生活を送ることができるよう指導援助を続けていきたい。
< 遊び・非行から不登校となった児童生徒への対応 >
児童生徒の「遊び・非行」がどの程度まで進んでいるかによって,対応も異なりますがここでは一般的な対応を紹介します。
○教師の対応
・児童生徒の現象面だけを見るのではなく,そこに至った要因を適切にとらえ,問題
の解決に努める。
・気持ちを受容しながら,生活態度の乱れや遊び行為などの改善を求め,状況によ
っては登校を強く促す。
・得意なことに取り組ませ,認め励ましながら自信を持たせる。
○家庭への対応
・分離,自立を求めて迷うことは思春期の自然な動きであると理解し,子供を見守
っていく心のゆとりを持って接するよう働きかける。
・家庭での子供のかかわり方について共に考え,過大な期待や放任,無関心など
の対応を改善させながら,好ましい人間関係を作るよう援助する。
・家族の役割分担を明確にして,決まった仕事を継続させる。さらに,認め励まし,
子供に自信をもたせながら,我慢強さを少しずつ身につけさせる。