福島県教育センター所報ふくしま No.104(H04/1992.8) -031/038page
研修者研究報告 << 教育研究法講座 > > 面積の学習において,自力解決の力を高める学習指導
〜「スッキリランド」による個人差に応じた指導を通して〜いわき市立沢渡小学校教諭 伊達 多津也
1.研究の趣旨
(1) 研究の動機とねらい
算数の学習における学級の実態は,学力検査では全国水準を上回り,問題解決学習の学び方もできている。しかし,細かな個別指導が必要な子や自分の考えに自信が持てないまま練り上げに加わる子もいるなど,個人差がみられる。また,意識調査では算数の授業に期待を持てなかったり,自力解決を中心とした問題解決学習に対して,喜びを感じている子が少ないことが分かった。
これまで見通しを立てられない子に対しては,考えるヒントを見つけるためにヒントカードや指示カードを用いてきた。しかし,個人差に応じきることはできず,教師の考えを押しつけるのみの形式的なものになり,子どもたちが真の解決の喜びを味わうためのものにはいたらなかった。
そこで,教室に「スッキリランド」というコーナーを作り,解決への糸口となる具体物や半具体物を自分で選択したものを操作したり,少人数で話し合う場にしたいと考えた。こうすればより自分の考えに自信を持ち,与えられる学習から,自らが見つけ考える活動となるため,意欲も高まり学習への喜びも感じられるのではないかと考え上記の研究主題を設定した。(2) 問題点
1.学習したいという期待感が薄い。
2.自力解決での個人差が大きい。
3.問題解決学習でのできた喜びを確かに感じる子が少ない。(3) 原 因
1.児童側
ア.解決への見通しが持てない。
イ.学習内容の理解に個人差がある。
ウ.自分の考えに自信が持てない。
2.教師側
ア.個に応じた手だての工夫が足りず,興味・関心を高めていない。
イ.実態把握が甘く,つまずきに応じた指導がされていない。
2.仮説
面積の学習において,個人差に応じ,子どもが自由に選択できる「スッキリランド」のコーナーを設け,解決の見通しを立てたり,自分の考えを確かめたりする場を設ければ,意欲的に問題に取り組み,自力解決の力が高まるであろう。