福島県教育センター所報ふくしま No.105(H04/1992.11) -004/038page

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展開段階では主に「思考,判断」や「技能,表現」が重視される。そして,終末段階では主に「知識,理解」が重視される。
 つまり,指導要録の観点別評価は授業の流れにぴったりなのである。
 勿論,実際の授業はこれほど単純ではない。例えば,「関心,意欲」は導入段階のみではなく,展開段階にも,終末段階にも,さらに発展的な追究のためにも必要であって,持続性が大切にされなければならない。
 また,学習のプロセスを通る中で「思考,判断」が練り上げられ,「技能,表現」が高められる。そこで,「知識」もまた外側から量的にただ与えられるべきではなく深い「理解」を伴う必要がある。
 こうしたことは,「関心,意欲」を学力の中心に置くとか,「知識」を軽視してよいということではない。自己教育力の育成のように「まずもって意欲である」ということと同時に,より豊かな思考力や判断力の育成,より優れた技能や表現力の獲得,そして幅広く柔軟で有用な知識や深い理解など,が学習目標として達成されなければならないということである。

各学校の教育課程経営の重視
 さて,今もっとも重視すべき2つの課題を中心にして述べたが,こうした学校の課題解決の方向はそれぞれの学校の教育課程の問題として集約されてくる。
 それは学校週5日制もそうであって,学校の教育計画や実施が中心的課題なのである。
 その場合,子どもの実態や学校・地域の実態を基盤とした「わが校ならではの教育」の実現が求められると考える。それは単に教育課程の編成ではなくて,「教育課程経営」の観点に立つべきである。
 学校には様々な教育計画がある。教育課程経営はそうした教育計画をただ集めればよいというのではない。様々な教育計画は確かに必要に応じてつくられたものであるが,何が最も必要とされる計画か,精選し,重点化して,教育活動の総体を構造化する必要がある。あれも大切,これも大切,という総花式の教育課程はもはや実際的でなくなっているのである。むしろ,自校にとって必要とする教育活動を重点化することによって,子どもが喜び,教師にとってもやりがいのある教育を創りあげることが大切である。
 しかし,そのためには学校改善に向けての教師たちの協働体制が必要である。個々の教師の努力や一部の教師だけの働きだけでは,これからの教育課題に学校がこたえられなくなってきたことも確かな現実である。
 そこで,校長・教頭のリーダーシップと,主任層に位置するミドルの働きと,授業や学級経営をマネージすることの上手な教師たちの複合された働きが大切である。これからの教育はパラダイムが変わることはもはや必然的なことである。新しい課題が次々に生まれている。教師それぞれが,これからの教育のビジョンを持ち,変革に応じる姿勢を持っことが求められている。


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