福島県教育センター所報ふくしま No.107(H05/1993.6) -022/038page
(3)指導の実際
[事例 1] 2年 かけ算
(教具使用のねらい)
覚えたばかりの乗法九九を定着させること。
5の段を学習した後で,5の段だけの9個のプレートをはずし,積が見えるようにしておく。
枠の中に書かれた式を見て,当てはまる積を探して1枚ずつはめ込ませた。
また,学習の進度に応じて,5の段と2の段を同時にはずして,5の段の積と2の段の積を区別する見方を養うようにした。
さらに,1の段から3の段,1の段から4の段 ・・・・のように複数の段のプレートを同時にはずして,どの段にどんな積があるのかを覚えさせるようにした。
覚えたばかりの乗法九九が遊びの中で使えるので,式の答えをもっとよく覚えようと自ら教科書を開いて,熱心に乗法九九の暗唱に取り組む姿が見られた。
[事例 2] 3年 かけ算−1
(教具使用のねらい)
積と被乗数から乗数を見つけて,式を完成させること。
はじめに,4の段のプレートを9個はずして裏返しにしておく。次に,プレートを1つずつ手に取って,積を見ながら4の段の当てはまる式を探してはめ込ませた。教科書の例題にある4×□=12,4×口=20などの未知数を見つけ,乗法九九を完成させる学習が楽しく進められた。
[事例 3] 3年 わり算
(教具使用のねらい)
積から被乗数を自分で決め,その被乗数をもとにして乗数
を見つけて,式を完成させること。
はじめに,3の段と4の段のプレートを全部はずして裏返しにしておく。次に,プレートを1つずつ手に取って,積を見ながら何の段の積かを考え,被乗数を自分で決める。自分で決めた被乗数と積をもう一度見比べて乗数を見つけさせた。
学習が進むにつれて,プレートをはずす段の数を増やし,最終的にば81個のプレート全部を一度にはずしてから,全プレートをもどす遊びに発展させた。
4〜6人のグループ対抗で,全プレートをはめ込むまでの時間を競争させた。6人では,2分21秒が最高タイムであった。
また,「12」を「3×4」の枠へ入れようとすると,既に「12」がはめ込まれていて,自分で決めた被乗数の変更を余儀なくされる場合も生じ,「12」の被乗数を拡張していく姿が見られた。
さらに,「63」や「72」・・・・ などの大きな積の被乗数を見つけられない人がグループにいると,「7×9じゃないの」「8×9だよ」と積極的に教え合う姿も見られた。