福島県教育センター所報ふくしま No.107(H05/1993.6) -026/038page
4.指導擾助の実際
(1)指導援助の方向
A男はLDのために集中力に欠け,多動傾向を示すことが多い。それが原因となって,担任からも級友からも認められることが少なく,疎外感,孤独感を感じている。このようなA男に対して,まず,受容的に接し,落ち着いた環境の中で個別指導を進める。さらに,心の安定を図りながら,級友の前でよさを認め,存在感,所属感を味わわせる援助に努める。
(2)指導援助の経過
指導援助 級友のかかわり・様子 A男の様子 ○A男が集中しやすいように席を 教師の近くに置き,A男と言葉をかわす機会を増やす。 ○学級活動で仲間はずれをなくそうという話し合いが行われる。 ○「忘れ物調べ表」,「宿題調べ表」などの級友と競い合うような表の掲示をやめ, A男の苦手なことを級友と比較しない。また,されないようにする。 ○担任に自分から話かけてくることが多くなる。 ○休み時間などA男の様子を観察するとともに, 一緒に遊びながら,級友の中に入れるようにかかわる。 ○担任も一緒に遊びに参加することから,子どもたちもA男を迎え入れようとするようになる。
○担任と一緒であることから,安心して参加することができる。
○ 個別指導の時間を増やし, A男の学習の実態をとらえる。(学習の遅れている他の児童への個別指導も心がける) ○分からないことを互いに教え合おうという雰囲気が出てくる。 ○個別に指導しているときは,落ち着いた態度で学習に取り組むことができる。