一人一人の社会的思考力を高める公民の指導はどうあればよいか
− 社会科新聞づくりを通して −
東白川郡古殿町立古殿中学校教諭
岡 崎 寛 人
1.研究の趣旨
−研究の動機とねらい−
これまでの自分の社会科の授業は,基礎・基本の定着を目標に研究を重ねてきた。毎時の授業の組み立て,単元構成の工夫,板書の精選,資料の提示,実態把握,学習カウンセリングなど,あらゆる試みをしてきた。その結果,知識・理解を中心とする学力の向上はそれなりの成果が上がったといえる。(平成4年6月14日外部テスト平均偏差値61)しかし,今日社会科としての「見方,考え方」を高める指導のあり方が要求される中で,単にテストで良い点をとっただけで社会科としての目標が達成されたとはいえないであろう。「覚える社会科」ではなく,「考える社会科」への転換をはかる時期であると感じ,思考力を高める指導法の研究に取り組むことにした。
ある学級でアンケートを実施したところ「社会科が好き」「社会科が得意」と答えた生徒が多数を占めた。
1. 社会科が好きですか (2年3組35人)
好き 25人
どちらかといえば好き 8人
どちらでもない 1人
どちらかといえば嫌い 1人
嫌いO 人
2. 9教科中得意な教科を3つ上げよ(3年1組34人)
社会科を上げた生徒 21人 |
このことから,全体的に社会科に対する関心が高く,意欲的に学習していることがわかる。ところが,観点別に生徒の学力の実態を調査したところ,断片的な知識や資料の読み取りは高いものがあるが,多面的な思考,比較,関連といった点についてはまだまだ弱いものがあり,「新しい学力観」として強く要求されている表現力などについても十分でないという問題点も見逃せないものがある。
そこで,断片的な知識注入型になりがちだった指導法を改善し,「考え」「まとめ」「発表(表現)」の手段として,一つのテーマについての討論会を授業に取り入れ,新聞づくりをすることで,一つの事象を多面的にとらえる能力が養われ,社会的思考力が高まることをねらい上記の研究主題を設定した。
2.研究仮説
断片的な事実認識学習に陥りがちな生徒たちに,社会科新聞づくりを通して,一つの杜会的事象を他の事象と比較・関連させながら,多面的にとらえさせて考察させれば社会的思考力が高まるであろう。 |
3.研究計画(略)