福島県教育センター所報ふくしま No.108(H05/1993.8) -006/038page
(3)指導援助の方向
心理面での指導援助にあたっては性格的要因や心理的要因を把握することに努めた。そして,自分の考え方の歪みや身体症状の原因に気づかせ,ストレスの発散の仕方を身につけさせるようにかかわった。
IV 研究の実際と考察
1.「不定愁訴」アンケート
(1) 集計結果一部抜粋
[右グラフ参照]
(2) 「不定愁訴」を持つ生徒の割合「起立性調節障害」の診断基準により,自覚症状から診断した疑われる生徒の割合である。[下表参照]予想以上に高い割合となっている。
<<男女別・学年別割合> >
1年 2年 3年 合計 男子 人数 54 56 72 182 パーセント 36.2 44.1 51.8 43.9 女子 人数 50 79 65 194 パーセント 56.2 70.5 67.0 65.1 合計 人数 104 135 137 376 パーセント 43.7 56.5 58.1 52.7 (3) その他の質問項目との関連
上記の「起立性調節障害」が疑われた生徒の特徴として「情緒不安定である」「学校に対する不適応感がある」などの相関関係が確かめられた。
2. 個別心理検査および指導援助の経過
以下の事例は,K高等学校の養護教諭が主となり,「不定愁訴」を持つ生徒に対して個別に指導援助したものである。
(1) 3年男子A夫の場合
前年度『思春期やせ症』のため通院したが,現在は特に心配ない生徒である。
1. 事前PFスタディ実施結果
社会適応度の未熟さが感じられる。常識を疑われる面もあろう。他人を傷つけることが怖いため,自己主張ができない。自我の弱さが感じられる。
2. SCT実施結果
父親や,先生,友人を遠ざけようとするところがあるのに,母親とはかなりの心理的密着度を示しており,この年齢にしては不自然な感じがする。