福島県教育センター所報ふくしま No.108(H05/1993.8) -007/038page

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3. 指導の経過
 身体症状は,欲求不満を抑圧してしまいうまく表現できないためであると考えられる。ほぼ毎日保健室に来室するので,受容と支持の対応を原則とした。進路に関しての悩み(自信のなさ,不安)が多い。本人の自己イメージを高めることを心がけ,訴えを聴き励ますようにした。徐々に,自信がついた発言が増えてきた。家庭内の問題としては,父子関係がうまくいかないことが大きなトラブルになっているようだ。

4. 事後PFスタディ実施結果と考察
 他責的反応(欲求不満の原因を他人や環境のせいにする反応)について,前回はほとんどないのが特徴だったが今回は逆に高くなり大きく変化した。特に他罰反応(他人や物に対する直接的な敵意)が高いのが目立つ。一方,物事の解決欲求は低くなっている。防衛反応として「自分を守ろう」としているのだろう。
 このように今までとは異なる反応が見られたのは,一時的に混乱した状況に陥ったためと思われる。その後,生活面では落ち着きを見せ始め,徐々に父に対する印象が良くなり,父子関係が改善されていった。同時に「不定愁訴」も減少している。

(2) 1年女子E子の場合
 明るい印象はあるが無理に演技するところがある生徒である。

1. 事前PFスタディ実施結果
 必要以上に責任感を感じ,言い訳をしながらも認めてしまったり,抑圧してしまうところが多い。一方,忍耐力や問題を解決しようという怠欲に乏しい。
 自分自身を守るためにやや背伸びし,苦しくなることもあると考えられる。

2. SCT実施結果
 自分の気持ちがどうであっても,表面には出さずに,明るくスマートにしていたいという考えが見られる。
 そのため,表面的には元気に見せていても,中身は違うということも有り得る。自分の本音を素直に出すタイプではない。

3. 指導の方針および経過
 自分の考えを素直に表現できず,表面だけ元気に取り繕っていることが,身体症状の要因と考えられる。自分の意思表示をはっきりできない面があったので,自己決定を促すような働きかけを多くし,待つ姿勢を心がけた。

4. 事後PFスタディ実施結果と考察
 A夫同様,他責的反応が高く変化した。自分の気持ちを抑圧することがなくなっている。今までは周囲に対する配慮から無理に自己表現しないでいたことからの脱皮の過程で一時的に混乱した状態に陥っていると考えられる。自已主張できるようになってはいったが「アイデンティティの拡散」につながる一面を持っているように思われる。「不定愁訴」では軽減されていない。


(3) 1年女子F子の場合
 いつも誰かと一緒で,一歩に後ろに下がった印象がある生徒である。

1. 事前PFスタディ実施結果
自分自身を振り返るということがあまり


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