福島県教育センター所報ふくしま No.108(H05/1993.8) -012/038page
(3)それから,これまで勉強してきた形を発表させました。児童から,たくさんの図形の名前が出ました。
長方形 三角形
正方形 四角形
ひし形 五角形
台 形 六角形
二等辺三角形 正三角形
平行四辺形 直角三角形
(4) 図形の名前の所に,自分で作った形を分類しました。その後で,みんなで確認していきました。
(5) さらに,「たくさん違う形ができたけれどみんなに同じことがある」と発問し,共通点に気づかせました。児童の気づきの中から「面積は全部同じだ!」という児童の発見を取り上げ,面積の求め方について既習と未習を確認していきました。
(6) こうして,これから単元で学習していく内容について明らかにすることができました。
8. 授業の考察
この実践授業により,「学習意欲を高めることができたかどうか」を「ふりかえりカード」(図3) への記入を手がかりに考察してみるとほとんどの児童が「楽しかった」「よくわかった」と答えています。問題が「解けなかった」と答えた児童はいませんでした。これらのことから,学習意欲を高めることはできたと考えます。
次に,「個の表出を学習指導計画の作成に生かせたか」という点ですが,「今日は○○さんの作ったような平行四辺形の面積の求め方を学習しよう」というように,児童が作った図形を毎時間の授業で生かしながら単元の学習を展開していくことができるので,個の表出を生かすことができたと考えます。
児童から一出てきた図形を,学習課題として,あるいは練習問題として使うことは,児童の学習意欲を高めるだけでなく,毎時間の導入を短時間ですませることができるよさも併せ持っています。
9. おわりに
単元の導入時において,「個を生かす」1つの手だてについて説明してきました。
「問題はいつも与えられるもの」と考えるのではなく,児童自らが「問い」を持ち追求するような授業をすることによって,児童の主体性はよりよく育っていくものと考えます。