福島県教育センター所報ふくしま No.108(H05/1993.8) -027/038page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

生徒指導・教育相談実践講座

 あ な た も カ ウ ン セ ラ ー 

−集団不適応児童生徒への指導援助−

教 育 相 談 部

107号 多動傾向(LD)から集団不適応に陥った児童生徒への指導援助
108号 場面かん黙のために集団不適応に陥った児童生徒への指導援助
109号 いじめのために集団不適応に陥った児童生徒への指導援助
110号 対人不安から集団不適応に陥った児童生徒への指導援助

 学校には,しゃべらないということだけで,集団に受け入れられない児童生徒がみられます。このような児童生徒は,集団に不適応感を持ち,その子のよさを発揮できないままの状態にあります。
 このような児童生徒の健全な発達を促すためには,担任が,個に応じた指導援助を行い,集団における不適応を改善していく必要があります。
 今回は,場面かん黙から集団不適応に陥った児童に対して,担任が教育センターと連携を図って指導援助を進めた事例を紹介します。

○ 場面かん黙とは
 言語の能力はありながら,何らかの心理的な原因によって,学校などの特定の集団場面になると言葉を発しないケースを場面かん黙といいます。また,症状が選択的であることから,選択性かん黙とも呼ばれています。入園や就学をきっかけにして話さなくなることが多く,口をきつく結ぶとか促されても動こうとしないなどの身体的な緊張や行動の抑制を伴う場合があります。また,場面かん黙の児童生徒には,次のような性格傾向がみられます。
 1. 内気で控えめであり,他人との交流が少なく,新しい刺激に敏感であるといった内向的な傾向がある。
 2. 引っ込み思案で自信不足といった非社会的な面と同時に,頑固な面がみられる。場面かん黙の場合は,このような性格のみならず,様々な要因が複雑に絡み合って口をきかなくなる状況が形成されていますので,原因を特定することは非常に難しいことが多いものです。
 しかし,周囲の人の対応を目や耳で敏感に感じとり,話さないことで何かを訴えようとしているのです。ですから,「どうにかして話させよう」という方法をとることは,適切ではありません。話さないという表現に隠されたその子の真の訴えを感じとることが大切です。このことは,改善をめざす場合の基本的な態度でもあります。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。