福島県教育センター所報ふくしま No.108(H05/1993.8) -029/038page

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学び,身につけていく機会を逃したと思われます。
 そのため,Y男は,緊張や不安を感じる場面を沈黙によって回避することを繰り返し,場面かん黙の傾向を一層強めていったと思われます。

4. 指導援助の実際

(1) 指導援助の方向
[本人に] ○ 安心できる場としゃべらない自由を保障しながらも,話しかける機会を多くし,自ら話したくなるような状況をつくる。

[両親に] ○ 声かけを多くし,手伝いをさせるなどして,Y男に自信を持たせたり存在感を味わわせたりする。

[担任に] ○ できるだけ寄り添うようにし,明るく声をかけ,Y男が応答できる機会をつくりながら信頼関係を深めるとともに,温かく受け入れる学級づくりに努める。

(2) 指導援助の経過
来所の際のかかわり 両親・担任
のかかわり
Y男の変容
Y男の安心できる相手になれるように バトミントンやトランポリンなどで遊ぶ。 ○母親も混じって活動する。 ○初めのうちは,緊張している様子がみられる。
ゲーム「だるまさんがころんだ」で声を出す場面をつくる。 ○担任が来所し,Y男への援助の在り方について相談する。 ○学校というイメージがないせいか, 小声で答えるようになる。
○来所時に「こんにちは」の声をかける 担任は,Y男に返答を強要せず,自然に明るく振舞う。 ○穏やかな表情になってきたが,まだ,返答は,聞かれない。
○トランポリン,登り網,ボール遊びなどで遊ぶ。    ○ゲームに負けると,一方的に遊びを放棄する。
○来所の際に,「こんにちは」の声かけを継続する。 ○担任との交換日記が始まる。 ○親密さを感じ始めたのか, はにかみながら返答するようになる。
○担任へは,かかわりのよさを賞賛し, 気負わずあせらずゆったりとした気持ちで,信頼関係をつくること。 担任は,効果をすぐ期待 ○交換日記に関心を示す。

○担任の問いかけに,うな


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