福島県教育センター所報ふくしま No.108(H05/1993.8) -030/038page

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を第一にするよう話す。 せず,自然なかかわりを続ける。 ずくことがみられる。
  ○母親は,二人になる機会をつくり,あまえさせる。 ○母親とともに来所して遊ぶことを好む。
○ボーリングや輪投げをして,得点を競いながら遊ばせる。 両親と担任も遊びに混じる。 ○ストレスが減ってきたのか,輪投げに興味を示し, 自ら声を出して得点を加算するようになる。
○「こんにちは」「さようなら」の声かけを継続する。 ○担任は,簡単に答えられる問題で指名したり,手伝いをたのんだりして,その 成果を褒め,信頼関係が深まるように努める。 ○教育センターでの遊びの様子を,担任との交換日記に書いて知らせるようになる。

表情豊かに返答する。

5. まとめ

 児童生徒は,大好きな人や本当に自分にとって大切な人には,自分の気持ちを分かってもらいたいと思うものです。ですから,Y男には話すことを強要せず,まずは信頼関係つくりを大切にしてかかわることに努めました。それにより,安心感を持ち,少しずつ話すことができるようになりました。
 担任は,Y男の気持ちに寄り添い,Y男がかん黙を自ら破ることを待っています。その担任の姿勢を見て,級友もY男を認め,受け入れつつあります。Y男にとって,学級が少しずつ心の居場所になり始めているようです。

場面かん黙のために集団不適応になった児童への指導援助の留意点

○話させようとするのではなく,人間関係の基本を身につけさせるという長期的な見通しを持って,さりげなく対応する。
○担任が,児童との信頼関係をつくり,口をきかなくても安心してゆったりできる環境をつくる。
○「気持ちを分かってほしい」という心の訴えを感じとり,心を開いて自ら話そうとするまで待つ。
○集団の中で成功感を味わわせ,褒めてあげ,自信を持たせる。
○専門機関,家庭との連携を図り,共通理解のもとに段階的に援助していく。

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