福島県教育センター所報ふくしま No.108(H05/1993.8) -034/038page

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研修者研究報告
(教育研究法講座)

説明的文章の要点を正しく把握させ,論理展開に気づかせる学習指導

−ティーム・ティーチングによる選択学習を通して−

会津若松市立日新小学校教諭   佐竹 延男

1. 研究の主旨

(1) 研究の動機とねらい
 児童を取り巻く環境は,映像文化がほとんどである。そのため,文章を読むことに対する関心は低い傾向にある。文字言語に対する関心が低い原因は,環境だけでなく言語に対する技能や能力が十分に指導されていないことにも深く関係していると考えられる。そのため教材文のだいたいの事柄は読み取れても,叙述に即して正確に読み取ることができなかったりする児童が多い。また,言語能力は個人差が大きい。さらに,学習の仕方が十分理解されていないため,下位の児童ほど学習が受動的になりますます興味を失う原因になっている。学カテストの結果からも「言語事項I」「理解」の領域の正答率の低さが見られた。これらの主な原因としても「文章の叙述に即した正確な読みが弱いこと」や「言葉の働きについての理解が不十分であること」などが考えられる。以上の点からも,児童に文章を正しく理解する能力を育て,文章の要点を正しく把握させることが課題であると考えた。

(2) 問題点
 1. 説明的文章に対する興味関心が薄く,学習の仕方が理解できていない。
 2. 理解面・学習速度の面で個人差が大きく下位の児童ほど学習が受動的である。
 3. 児童の実態を多方面からとらえ,個人差に応じた指導が十分でなかった。
 4. 学習空問・学習形態を考慮した指導が十分でなかった。

2. 研究仮説

(1) 仮 説
 説明的文章の学習において,段落の要点をまとめていく方法(文図・絵図・要約文・ワークシート)を児童に選択させ,ヒントカードを活用したり,T・Tによる援助を行ったりして主体的に読み取らせていけば,文章の要点を正しく把握し筆者の論理展開に気づくことができるであろう。

(2) 仮説にかかわる概念規定
◎「文図・絵図・要約・ワークシート」とは
 段落をまとめていく方法を児童一人一人に選択させる。自分が行ってみたい方法で意欲的に課題解決に当たらせるとともに,他の方法の良さを認め合いさせながら学習を進めさせる。
◎「ヒントカードを活用したり,T・Tによる援助」とは
 児童の理解力により方法別に数種類のヒントカードを準備する。段落の重要語旬を見つけられない児童に与え,一人調べの段階で手助けとしていく。また,児童が興味


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