福島県教育センター所報ふくしま No.109(H05/1993.11) -006/038page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

この後,最終陳述を経て,陪審グループによる票決となる。裁判官は,この審理の間,全体に進行をつかさどり,票決の結果を最後に宣告して,閉審とする。

この方法のメリットとしては,次のことが仮説的に考えられる。
(1)ゲーム性を高め,学習への意欲付けを図ることができる。
(2)「証人喚問」として教師が参加することで議論を深めることができる。
(3)ディベーター以外の生徒が,「審査」ではなく,「陪審」としてグループ毎に票決することで,参加意識を高める。

一方,デメリットとしては,形式の煩雑さや,「賛成,反対」を「有罪,無罪」といった言葉で置き換えることの不自然さなどが考えられるであろう。
これらのことを踏まえた上で,「裁判」形式のディベート学習の有効性と問題点を実際の授業で検証した。
また,その際,自分本来の意見と異なる立場で立論することについても,意識調査を実施したので,併せて考察したい。

3 検証授業

検証授業は,福島南高等学校教諭阿部正春が,1年生2クラスを対象に「現代社会」で実施した。なお,授業計画は,基本構想を赤塚が立て,阿部が授業の細案や用いる資料などの原案を作成し,両者で検討して実施したものである。

(1) 事前準備

1. 課題設定・・・・・・夏休み前に,研究課題を選択させ,レポートを提出させた。
2. テーマを選択者の数などから,「PKO]「安楽死」など4つに絞り。賛成,反対について事前調査した。

(2) 授業計画・・・・・・8時間(9月中旬)

1・・・・・・オリエンテーションとテーマ決定(ディベートの意義,準備の仕方,「情報カード」の使い方)

2,3・・それぞれ,自分がディベーターになるテーマを図書館で調査。「情報カード」作成。

※ 放課後の指導
放課後,検事・弁護団のグループごとに集まり,テーマについて話し合い,賛成,反対(有罪,無罪)の論拠を明らかにした。
「質問予想カード」では,相手側への質問項目を決め,また,相手が反対尋問で質問するであろうことを予想し,対策を立てた。
証人喚問については,証人である教科担任に証言してもらう内容を決定し,授業の前日までに担任と打合せた。

4,5,6,7・・「PKO」「安楽死」「原子力発電」「米自由化」の4つのテーマについて,ディベート授業を実施。交替でディベーターを体験。

8・・・・・・評価と反省

なお,今回は生徒本来の意見と希望を尊重して,検事・弁護側に割り振った。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。