福島県教育センター所報ふくしま No.109(H05/1993.11) -012/038page
所員個人研究 (小・中理科)
環 境 教 育 に お け る 「川」 の 利 用
科学技術教育部 理科教育係 松 本 学
環境教育は,児童・生徒に環境や環境問題に関心をもたせ,人間生活と環境の関わりについて考えさせることが大切である。そのためには,身近な環境を対象とし,児童・生徒の問題意識を高めていく必要がある。本研究では,身近な自然環境として「川」を選び,川とその周辺の生物を題材にした体験的な活動を環境教育の一方法として報告する。
1.「川」の生物を調べる意義
川にはいろいろな生物が生息している。これらの生物は直接水と接しているため,水の汚れの変化に敏感である。川は家庭雑排水等による環境汚染の問題も含み,そこに生息する生物に大きな影響を与えている。その意味で,児童・生徒が自分自身の生活に身近な川の生物を通して環境について考える意義は大きい。
写真1 生活雑排水が流れ込む蛭川
2.研究の内容
(1)水生生物による環境の評価
(2)理化学的アプローチ
(3)帰化植物による環境の評価3.研究の実際
(1)水生生物による環境の評価
学校のまわりで観察される普通の川(福島市立瀬上小付近)に視点を当て,川の汚染と水生生物の関係について調査した。水生生物の採取は,すべて子供用の網か素手で行った。1. 水生生物の採取地点
摺上川の中流(A),蛭川の下流(B),瀬上地区を流れる川(C),生活雑排水が摺上川に流れ込む地点(D),住宅地のどぶ川(E)の明らかに環境が異なる5地点の生物を採取して比較した。2.川の様子と採取した水生生物
A地点:摺上川中流(瀬上橋付近)は水質はかなり良く,建設省の水生昆虫に水質レベルでもIの段階である。
○ヒラタカゲロウ類 ○トビケラ類 ○カワゲラ類 ○ヘビトンボ ○ヒル類 ○コオイムシ 写真2 トビケラ、カワゲラ、カゲロウ類