福島県教育センター所報ふくしま No.109(H05/1993.11) -020/038page

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所員個人研究

生徒の二次欲求を生かし,よりよい方向へ充足させるための教育相談的な指導の在り方

教 育 相 談 部 國 分 敏 昭


1.はじめに

行動の原動力となる子どもの欲求エネルギーを的確に把握し,そのよりよい欲求を生かし満たしていく過程で,意欲の湧く学校生活の実現を図るための指導の在り方について明らかにするものである。

2.主題について

(1)二次欲求とは

人間が育っていく過程で生じる「愛情の欲求」「承認の欲求」「自己顕示欲求」「所属の欲求」「賞賛の欲求」などのような人間関係に関する行動の原動力を言う。

(2)二次欲求を生かすとは

教師が子どもになくてはならない欲求に気づき,気づかせ,それを取り上げ,大事にしてやり,満たしてやることととらえる。
しかし,欲求のすべてを単に満たすものではなく,時には欲求を抑え,自制させることを勿論含むものでなければならないと考える。

(3)教育相談的な指導とは

教育活動の全領域において,次のような態度で教師が子どもに指導することととらえる。

○人間一人‐人が個性を持ち,異なる存在であるという見方に立って,子どもの考えや感情に注目し,子どもが発したサインを読み取り,受け入れる。
○積極的・肯定的に子どもにかかわる。
○子どもと話し合い,聞くことに努め,子どもの自己表現を助けるとともに,本人が自発的に伸ぴていくことを援助する。
○新しい価値を創造して行く場としての意味を教育活動に持たせ,子どもの側に立って創造的活動を見守る。
○教師自身の柔軟な考え方のもとに,多様な尺度で子どもたちを測れる目を持って当たる。

3.研究の実践

(1)生徒一人一人の二次欲求の把握

1. DATの活用

中学3年生を対象とし,一人一人の欲求をとらえるための方法としてDAT(適応性診断検査)を用いた。特に本研究では,不適応の要因としての生徒の持つ「不満感」に視点を当て検証のための資料とした。

2. 検査の結果から

不適応の危険性段階は,多くの生徒がC(危険性小)の段階であり,ー見問題はみられない。クラスの中で一名の生徒だけはASS得点が103で,何かのきっかけがあれば問題行動を持ちやすい傾向にあることが読み取れた。

3. DATの質問肢に目を向ける


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