福島県教育センター所報ふくしま No.109(H05/1993.11) -021/038page
検査の総合的視点では危険性小ということになるが,生徒が選んだ質間肢に目を当てると,そこから間題点や生徒の不満を読み取ることができる。生徒それぞれが質問肢ごとにどのくらい不満を感じているのかその度合いを再調査した。
(2)検証のための手立て
一つ一つの質間肢から把握できた不満を欲求の表れとして押さえ,欲求を満たすための個別的対応を設定し実践を進めた。
Y男の場合(一例)
(3)二次欲求を生かす授業
<英語の教育相談的指導の例>
1. 歌声が響く
導入では英語による歌を楽しく歌う。生徒が選曲し,発音を調ベ,昼休みに声合わせをする生徒の自発的活動を見守った。2. 会話練習に熱が入る
興昧あるものを会話に取り入れた。The most exciting movie(友達の名前) has ever seen is バットマン
という友達のことを知らせる紹介文を考えさせた。これは,必ずケアレスミスがあることを予想しての紹介文である。上位の生徒B子が「〜(友達の名前)has seenバットマン」と間達えた答えをいう。「なかなかいいと思うよ。三人称単数だからhasに変えるところなどはよく気が付いたね」B子はほっとした様子であった。
4. 自己表現に興味を示す
机間巡視をするとY男の表現が「大きく新しい明るい部屋数の多い家」と表現していたので発表させた。発表後,「実は大きさは自分に自信があり〜」と,説明を加え,「Y男君は自分に自信があって新しいものに挑戦しようとする人で,前向きで友達もたくさんいるってことなんだね。」と,言うと,「そんなことないんだけどなあ」といいながらも,いつにない生き生きした表情でうなずいた。
(授業考察)
このクラスは成績の序列ができ上がっていて,質問に答える生徒はいつも同じであり,互いに磨き合う意識は薄い。しかし,この授業では全員が何らかの活動をしており,紹介文を考える場面ではT子が積極的であったし,全員が意欲的に学習に取り組む姿が見られた。大きな声で発表し正解したT子はやや不満度の高い生徒ではあるが