福島県教育センター所報ふくしま No.109(H05/1993.11) -022/038page
自尊の欲求を満たしたという表情がみられた。自己表現の場面では,いろいろな尺度で生徒を理解し,生徒のよさを認めることが大事であることを知った。
(4)二次欲求を生かす個別指導<例>
◎危険性が大きいY男を例にしたが個別指導の結果,右図のような変容が見られた。
(細実線) 事前 (太実線) 事後 4.研究の成果
Y男の変容でもわかるように,教育相談的な指導は学校適応,自己適応の傾向を高めたといえる。これは,欲求がいくらかでも満たされてきた結果と考えられる。成果として得た結論について以下に示す。
1. 教育相談的な指導の対応は生徒の心を安定させる。
2. 生徒の二次欲求に即した教師の適切な対応は生徒の自己像を否定から肯定的な姿に変えていく。
3. 教師の肯定的なかかわりは,生徒の心を健康な状態にし,子どもの性格やものの見方を望ましいものに育てていく。
4. 一人一人が個性を持ち異なる存在であることを教師自身が自覚して指導に当たることによって,生徒は心を開き個性のよさを発揮する。
5. 個別的指導対応は教師と生徒の人間的な関係が基盤にあって生かされる。
6. 教育相談的な指導のかかわりによって欲求が満たされたことを自覚できると,それは次への行動意欲を生み出す原動力となる。5.おわリに
今後は,教育相談的な指導をどれだけ日常化した姿にしていけるかが課題である。
そして,生徒を真に理解する意味からも生徒と多く触れ合い,教育相談の機会を増やしていくことが必要である。