福島県教育センター所報ふくしま No.109(H05/1993.11) -023/038page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

<学校からの実践報告>

一人一人が自己実現し,追究を深める授業の組繊

−算数科における自己表現力の育成をめざして−

向河市立白河第一小学校教諭 小 玉 昭 男


1.はじめに

「一人一人が自分の思いや願いを生き生きと自己表現し,追究を深める授業」これは,私たち教師が授業を組織していく上でだれもが願うことである。しかし,実際の授業の中では,課題に対して自分の考えが持てなかったり,持てたとしてもそれをどう表現してよいのかわからなかったり,友達や教師の考えに頼ってしまったりという子供が少なくない。

自己表現力を問題にするとき,これまでは,全員の前で話ができる,ノートに書けるということだけに視点が当てられる傾向にあり,学習訓練的な手だてが多くなりがちであった。

そこで本校では,このような子供の実態を考慮し,一人一人の自己表現力の育成に視点を当てて実践研究を進めてきた。これは,一人一人が学習及ぴ生活の中で生き生きと自己表現することによって,自ら学ぶ意欲,思考力,判断力が育成され,さらには,互いの個性を認め合うことができると考えたからである。

2.研究の構想

(1)自己表現力のとらえ方

これまで自己表現というと,調べたことやわかったことを発表したり,書いたりすることに限定してとらえがちであった。しかし,課題解決の過程は,自らの思いや願いを実現するために,考えたり,判断したりしてよりよいものに高めていこうとすることであり,それらすべての行為が自己表現の連続であると考えることができる。

(2)自己表現の段階

自己表現には,次のような段階があると考える。

1. 自分なりの見方・考え方を持っことができる。(念頭,記録)
2. 「1対1」で自己表現ができる。(対教師,対友達)
3. 「1対小集団」で自己表現ができる。(対グループ)
4. 「1対多数」で自己表現ができる。(対全員)

したがって,自己表現力の育成に当たっては,これらの段階をふまえた個に応じた手だてが大切である。

3.研究の内容・方法

一人一人が生き生きと自己表現し,追究を深める授業を組織するために,次のような手だてを行っていく。

1. 人一人の自己表現力の実態を把握し,個別指導に役立てる。
2. 学習過程の中に一人追究,グループ追


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。