福島県教育センター所報ふくしま No.109(H05/1993.11) -025/038page
間指導を従来の機能を含めながら自己表現にして力の育成という視点で,一人一人との対話を重視してきた。
<主な基本的な発問・指示>
T:どうしてこの結果になったのですか。
T:なぜこれで正しいのですか。
T:先生に答えが出るまでのことをお話しして下さい。
T:もっと簡単に説明することはできませんか。
T:どこがむずかしいですか。
T:前に似ている学習をしたことがありませんか。
T:他の問題でも同じようにできますか。
T:これからはどうやればよいと言えますか。
T:あなたの説明,よくわかりました。ぜひみんなにも紹介して下さい。(4)教科における基本的な話し方・聞き方・ノートづくり
算数科の場合,結果だけでなく,結果が得られるまでの過程を筋道立てて説明することが大切である。そこで,発達段階に応じた話し方・聞き方・ノートづくりの仕方を明らかにし,その定着に努めてきた。また,検証・まとめの場においては,小黒板や中黒板を活用し,自分の追求の過程を図や式を提示しながら説明できるようにしてきた。
(5)授業外における手だて
生活の中で一人一人の自己表現力の機会を多くするために,創意の時間や朝の会におけるディスカッション等を行い,自由な雰囲気で自分の考えを述べ合えるようにしてきた。
5.おわりに
一人一人の自己表現力の育成に視点を当てて研究を進めてきた結果,少しずつではあるが,自分の見方・考え方を意欲的に表現しようとする子供が増えてきた。また,机間指導において,教師との対話を楽しみにするようになり,積極的に自分の追求の過程を説明できるようになってきた。
本研究を通して,子供は本来知ることに喜びを持ち,その喜びを他に伝えたいという意欲を持っていること,一人一人の自己表現力の育成には段階があり,その段階を考慮し,個に応じた手だてが必要であることが改めて明らかになった。
今後,さらに研究を継続することにより,一人一人が生き生きと自己表現し,互いの個性を認め合いながら追求を深めることのできる授業の具現化に努めていきたい。