福島県教育センター所報ふくしま No.109(H05/1993.11) -026/038page
生徒指導・教育相談実践講座
あ な た も カ ウ ン セ ラ ー
−集団不適応児童生徒への指導援助−
教 育 相 談 部
107号 多動傾向(LD)から集団不適応に陥った児童生徒への指導援助 108号 場面かん黙のために集団不適応に陥った児童生徒への指導援助 109号 いじめのために集団不適応に陥った児童生徒ヘの指導授助 110号 対人不安から集団不適応に陥った児童生徒への指導援助 いじめは,一部の児童生徒の間題ではなく,すべての児童生徒にかかわる裾野の広い問題です。いじめの原因・背景には学校,家庭,社会それぞれの要因が複雑に絡み合っています。また,学校不適応を起こす児童生徒の中には,いじめが起因している場合が少なくありません。
文部省初等中等教育局中学校課「生徒指導上の諸間題の現状と文部省の施策について」の統計資料によると,いじめの発生件数(昭和60年度〜平成3年度)の推移は,昭和60年をピークに年々減少し昭和62年度以降はゆるやかな減少しています。(図1)
発生件数を校種別にみると,小学校7,718件,中学校11,922件,高等学校2,422件で中学校が最も多くなっています。(図1)
次に,平成2年度と3年度の発生件数を比べてみると,小・中学校ではいずれの学年においても減少していますが,高等学校では全ての学年で増加しています。(図2)
全体的な特徴として,中学校1・2年生のいじめの発生件数は他学年より多くなっています。この時期は心身ともに不安定な思春期前期にあたります。そうした時期に加え環境の変化や生徒たちの複雑な人間関係も絡み,いじめの発生が多くなっていると思われます。ここ数年のいじめの発生件数は滅少気昧ですが,内容は陰湿化・長期化しており依然深刻な問題であり早期の発見・対応が必要です。