福島県教育センター所報ふくしま No.109(H05/1993.11) -027/038page

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[A子級友のいじめから立ち直った事例]

1.いじめの概要

A子は,小学校6年生の時に児童会副会長を努め,学級でもリーダーとしてきた。中学校に入学しても成績は優秀であり,学級の副委員長として活発に行動していた。
しかし,9月初旬,A子はB子たちから「プス」「生意気」などと言葉によるいじめを受けるようになった。
また,A子の名前の載っている掲示物が破かれたり,名前のところに画鋲を刺されたりすることがあった。A子はB子のグループと話し合おうとしたが,無視され,いじめがますますひどくなっていった。
10月になりA子は,自分の悩みを相談しようとしたが,学級の中には相談相手もなく,頭痛や気分不快など身体症状を訴えて保健室に行くことが多くなった。さらに,B子グル−プからのいじめも度重なり欠席する日も出てきた。

2.A子について

(1)生育の状況

A子は,母親が父親の会社の手伝いをしていたので生後2カ月頃から近所に住んでいた祖母(母方)の手で育てられた。
幼稚園では,作業も早く遊ぶときも先頭に立って元気に遊んでいた。しかし,気分にむらがあり,わがままなところが目立った。
小学校に入学すると,母親はA子に習い事を数多くさせていた。A子はあらゆる面において優れており,成績もよく母親はA子の姿に満足していた。A子は,すべての面で積極的であり,学級委員の選挙にも度々当選するが,仲の良い友達はいなかった。

(2)家庭の状況

父親(50歳)・母親(46歳)・本人の3人家族である。父親は会社役員で,仕事熱心で家庭を振り返ることはなかった。A子にとって父親は,影の薄い存在であった。
母親は,何かにつけてA子の行動に口を出し過ぎる傾向があり過干渉ぎみであった。

3.指導援助の経過

(1)[A子とのかかわりを振り返る学級担任]

A子が学校を休み始めた10月下旬,学級担任は,放課後の巡視中に,A子の椅子にチョークの粉がっいていることや,机の中に,「ブス」「生意気」「学校に来るんじゃない。」と書かれた紙が数枚入っているのを発見した。A子がいじめにあっていると感じた学級担任は,なぜ今まで気がつかなかったんだろうと反省した。
そこで,A子が欠席し始めた10月上旬頃の様子を振り返ってみた。

1. 養護教諭から「A子が昼休みに一人でよく体重を測りに来る。」という話を聞いた。その時に,女の子なのだから自分の体重が気になっているのだろうと軽く考えていた。今になって養護教諭から当時のことを詳しく聞き直すと,独りぼっちで寂しそうであったということだった。

いじめられている生徒は休み時間になると職員室や保健室など教師の近くに行き,いじめにあわないようにすると言われている。


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